概要
東海龍王の三太子である敖丙(ごうへい)はある日、不用意にも天理に逆らってしまった。
深傷を負って溺れていた人間の少年を助けた、ただそれだけのことで。
神は人の世に干渉してはいけないというのが、天が定めたこの世の規則。
しかしひょんなことから敖丙は俗世と関わりを持ち、様々な事件に巻き込まれてしまう。
変わりゆく時代の狭間に人は何を思い、神はどう在るのか。
これは、それぞれの想いが織りなす崩壊と再生の物語。
◆『封神演義』や『西遊記』などの中国民間神話に語られる一挿話から着想を得た作品です。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!神と人、関わるはずのなかった二人が出会った先にあるのは――。
神である敖丙(ごうりょう)はある日、傷を負った人の子を助けてしまう。神は人に干渉してはいけないという世界で、敖丙のとった行動は天理に逆らうものだった。しかし、一度人と関わってしまった敖丙は、その後、人の子と親しい関係となり……。
最初はぎくしゃくとしていましたが、しだいに仲良くなっていく二人の関係が微笑ましかったです。人間と関わり、少しずつ自分の世界が広がっていく敖丙の姿が、なんとも楽しそうでした。
物語は凝られた設定の中に、親しみやすい二人の登場人物が中心となって進み、読みやすいです。特に後半からは驚きの展開となっていて、読者からさまざまな感情を引き出してくれます。
中華系ファンタジ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!静寂な文章で紡ぐ熱い友情と時代の荒波
神とて決して人の願いを何でも叶えてくれるような都合の良い霊的存在ではない。ここでははっきりと、人々と同じように「生きる」神々の姿が描かれていました。
繁栄と没落の動乱、そこからの淡い再生、また出会いによって育まれる友情が、短い物語の静寂な文章表現によって色鮮やかに語られています。そして、移ろい行く時代の中で生きる神と人とが織りなす壮大なスケールは、永遠などない諸行無常の世の中を思わせ多少の虚しさが余韻として残るような気がしました。
それでもラストは、こんな世の中でも捨てたもんじゃねェナと気づかせてくれるような、希望と感動に溢れるものとなっています。
困った時の神頼みタイプな方、中華モチ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!仙侠小説大好き!日本語で読みたかった要素いっぱいの小説に出会えて幸せ☆
最近ハマったばかりのにわか仙侠小説ファンです。
仙侠小説が読みたくて、色々探してましたが、なかなか見つけられなくて本場中国の小説サイトで自動翻訳をしてでも読むくらい始終、仙侠小説に飢えてます。
そんなわけで、私の欲しかった仙侠モノの要素がふんだんに盛り込まれたこの作品を読めて、めちゃ感激です!
カクヨムで、こういった作品に出会えるとは!!
有難うしかないです☆
主人公と彼が助けた少年が中心となって物語は進みます。
この世界での神様と人の関係性について語られる話を追っていくだけでも楽しいのですが、主人公と少年の関係性が変化していく過程がめっちゃ好きでした!
ファンタジックさとキャラの人…続きを読む - ★★★ Excellent!!!人と龍と神。平穏な日常に一石が投じられたときに初めて、人の歴史が始まる
ある日龍の少年である主人公が1人の青年を助けたところから物語は始まる。
閉ざされた世界、どしれた文化で生きてきた主人公は彼との温かな触れ合いの中で、人の世を知っていく。けれども平穏に見える日常の裏で、刻一刻と世界は次へと歩みを進めていた。
これは人が世界を手に入れるその始まりを描いた物語──。
本作はタグや説明を見る限り、中国の故事や伝承を元に作者様なりのアレンジを加え、現代の読み物としたもののようです。
そのため人名・地名、言葉の端々に中華の雰囲気が滲み出す。舞台が海の近くということもあって、「日本」とは違った空気感を味わいながら読み進めることができました。
ジャンルが歴…続きを読む