砂漠の鷹は望郷の涙を流すか

スナイパーである『ぼく』と観測手である『俺』のバディもの。戦争という舞台を用いてはいるものの、その筆致は柔らかくsexyでさえあります。同じ方向を見据え、呼吸を殺して鼓動をかさね、ふたりで協力して標的を仕留める様子は、暗に愛の行為を表していると感じます。
戦争の大義名分を仇討ちとし、あくまで個人間の問題として凝縮しているのもおもしろい。まだまだ戦争が遠い国の出来事と捉えがちなひとには身近な材として的確に機能していると思いました。専門的なことはわかりませんが、しっかりと監修をつけた作品ながら読み手を置いていくことなく読み進められるのも素晴らしいです。
スコープで覗いたその先にはいったいなにが見…続きを読む

この物語は、ただの戦争小説ではない。

人間の内面に潜む善と悪、優しさと残酷さが交錯する深淵を見事に描き出している。

主人公たちの行動一つ一つには重みがあり、戦場という厳しい現実と、人間の内面に潜む温かな情感との間で揺れ動く姿を鮮やかに捉えている。

その筆致は、読む者の心に深く刻まれるものであり、その繊細さと力強さのバランスが見事に保たれている。

登場人物たちは、それぞれが重い宿命を背負いながらも、自らの信念を貫こうとする。その姿は、まるで荒涼とした砂漠の中でひときわ輝く鷹のように、孤高でありながらも美しい。

彼らの行動一つ一つには、深い意味が込められており、その背後にある人間の強さ…続きを読む

戦争(しかも宗教絡みも含む)という、
現代日本ではあまり馴染みのない題材でも
基本一人称で読みやすく、読み進めていくうちにいつの間にか
物語に入り込んでいます📖

実際の戦争も宗教や価値観のズレなどで起こり得ることを
この作品を通して身に染みて感じられました

静かで、かつ壮絶な緊張感が漂ってくるお話で
不謹慎ではありますが
一種の厳かな雰囲気も感じられます

ファンタジーでありつつも
設定や土地名、彼らの習慣など違和感なく受け入れられます
彼らの傍を通り抜ける風の匂いが
まざまざと感じられる作品だと思いました！

狙撃という戦い方に緻密な心理描写が生きています。
バトルを文章で表現する、という企画の趣旨とその観点からのレビューですので、その部分のみにはなりますが、文章がとても静かで、まるで自分が狙撃手になったかのような深みと迫力があります。
世界観も独特で、異世界でありながら銃器、ヘリコプターなどが登場するので他にはない個性がより戦闘描写に広がりを持たせているのではいでしょうか。
生と死を俯瞰で見ているような凄みを感じました。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（146文字）

ミリタリーブロマンス。
異世界ファンタジーとしては異質なジャンルですが、これはまさにミリタリーでブロマンスですね。
主人公達の信頼と友情の物語が、スナイパーとスポッターという兵種の相棒感とも相まって濃密に描かれています。
戦闘も銃、兵器を中心としたお話ですので、近代ファンタジーと言った印象を受けました。

近代の世界観ミリタリーも良いですし、ブロマンスな部分も楽しめる作品。
銃、厚い友情、渋くかっこいい物語。
どれかでも琴線に触れたのであれば是非読んでみてください。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（165文字）

主人公は狙撃手、そして相棒は観測手。
凄腕の彼らは、砂蜥蜴よりもゆっくりと戦場を這い回りながら的確に敵を打ち倒す。

砂漠の砂が目に入ってくるのではと錯覚しそうな乾いた筆致の中で、時折顔を出す主人公コンビの友情にほっこりする。
バディもの、戦記物、ミリタリーが好きな方におすすめの一作です。

冒頭、殺伐とした戦場の描写にハッとさせられました。
よくある戦争ものの雰囲気ではなく、リアルな戦場を肌で感じました。想像だけではなく、しっかりした知識に裏付けされた描写であると感じました。
それは戦闘シーンだけではなく、物語の主要人物である二人の青年たちの心理描写でも感じられます。明日も知れない危機的状況で生きながらも、神を信じ、神のための戦士である自分を信じて生きている彼らが、眩しく思えます。
別世界に連れて行ってくれる話とは、こういう作品だなと思いました。

丁寧な描写により、登場人物達のリアルな生き様を味わう事が出来ます。
よくある異世界戦争物とは一線を画す作品。

一話目を読むだけで自然と惹き込まれていきますので、まだの方には是非読んでもらいたいです(^^)/