二十一、逢魔が知りたいこと
しかし相変わらずの無表情が、ここにきてそのすべてを覆い隠すことに役立っているようだ。
(よく
自分がもし相手だったら、三日で音を上げるだろう。たが、
ただ、
箸を咥えたまま、逢魔は頬を膨らませる。少し遅い昼餉だが、先ほどまでの不穏さはどこにいったのか。
何事もなかったかのように、目の前に仲良く並んでお膳の料理を食べているふたりは、不自然なくらいいつも通りだった。
「ねえ、ふたりはいつから一線を越えたの?」
ぶっと
「あの村を訪れた時はもういちゃいちゃしてたから、もっと前かな?俺が幼い時はがまんしてたの?十二歳までは三人で一緒に寝てたし。俺の前では口付けすらしなかったよね?」
「お、
「興味があって。ほら、俺ももう大人だし。ふたりは
「な、なにもご飯を食べながらする話じゃないと思うけど・・・?」
咥えていた箸を離し、ふたりを指すように向ける。行儀が悪い、と
胡坐をかいていた
「俺が
申し訳なさそうに顔を作って、本当はわざとやっていたということは隠す。実のところ、それをやっている時にちらりと
「そうなの?嫌だった?嫉妬してた?」
逆に
「・・・幼子になぜ嫉妬するんだ?」
しかし、
「普通、自分の恋人が他のやつといちゃいちゃしてたら嫉妬するでしょ?」
(・・・最初は確かに嫉妬のようなものがあったかもしれないが、それ以上にふたりのその様子が愛らしいと思っていたのだが、答えを間違ったか?)
そうすると口を尖らせたような形になり、思わずふっと笑みを浮かべる。その表情に、
指を離した
「ふふ。そんな君が本当に大好きだよ」
「あーはいはい、ご馳走様。邪魔者は退散しまーす。でも答えはまだ聞いてないから、あとで教えてね?」
ひらひらと右手を振って、いつの間にか膳を平らげ立ち上がっていた
腰に差した黒竹の横笛に付いている飾り紐がふらふらと揺れていた。
「なんなんだ、一体?」
「彼なりの気遣いだと思うよ?本当に聞きたいことが聞けなくて、でもいつも通りでありたいっていう」
気持ちの整理が付いたら、伝えなければならないことは伝えたい。
ふたりはしばらく
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