十八、夜泮
息をするのも忘れるくらい、何度も口づけを繰り返していた時、豹変したように
何百年も前から存在し、外に出てきては
首筋に思い切り噛みつかれ、血が滲んでもなにも感じず、また新しい傷跡がひとつ増えたと心の中で呟く。
「そうだよなぁ。お前はなにをされても何も感じない
「・・・お前にはできない」
細い首を右手で掴み、力を入れる。爪が食い込み、そこからまた血が滲む。
衣を剥がれた上半身には無数の傷があり、それはすべて目の前の者によって刻まれ、消えない痕となった。
「
首を掴んでいる指から力が抜け、
「お前は
「お前は俺のものだ。当然だろう?それに、お前も実のところ満足しているのだろう?こいつはお前に口付けはするが、抱かない。いつだって俺に
首から手を離し、細い腰に腕を回す。青年のように落ち着いているが、身体は少年のように華奢で幼い。
少女のような声音だが、
「孕んだ
耳元で囁くように
「隠してなどいない。あれはとうに死んだ。私が殺した」
「下手な嘘を付いても無駄だ。脈も心臓も音が聞こえなくても解る」
ゆっくりとじらしながら右手を胸に這わせて、心臓がある場所で止める。嫌な笑みを浮かべて
「まあ、いい。俺はそれに興味はないが、使い道はいくらでもある」
その口を塞ぐように、
それに満足するように、
(・・・どうか、あの子はここに連れて来ないで)
祈るように、
邪神に利用されるなど、そんなことは絶対にあってはならない。
だから、どうか。
この声が届いているなら。
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