十六、隠し事
「ふたりとも、お疲れ様」
「おかえりなさい。難しい話は終わった?」
縁側に座る
遅れて
今、五大一族は一丸となって
半月前。
一族で生き残ったのはふたりの公子と数人の術士たちのみ。民たちの半分以上はなんとか逃げのび、他の一族たちがそれぞれ受け入れていた。
公子や術士たちはここ、
今や、
「
他に、
「私も近い内に戦いに加わることになると思う。もちろん最前線でね」
「なにそれ。なんで
その言い方に違和感を覚え、
「私は
「なんで失う前提なの?そんなのまるで、」
「これは、私が提案したこと。君たちはそれに従って後方で事が収まるのを待っていて欲しい」
握っていた手に力が入る。
黙って聞いているだけの
「
「
「・・・そんなの無理だよ。俺にとって
撫でた頬の横の左耳にある、銀の細長い飾りがシャラシャラと涼しい音を奏でる。
「約束する。その時が来たら、必ず話すと。だから、どうか、」
触れている手に自分の手を重ねて、
(俺を生んだひとは、俺を捨てたけど、
これからもずっと三人でいるのだと思っていたのに。いつか来る終わりのことなど知りたくもない。このままずっと、このぬくもりを感じていたい。
よしよしと、そんな甘えたがりの大きな子供の頭を撫でて嬉しそうに微笑む
こうなることを、ずっと予感していた。数日前、
この国の根底を揺るがすような、そんなお伽噺のように実感のない昔話は、ただただ空想のようで。しかし、虚構ではないと知る。
(だが、俺は・・・その時が来たら、)
きっと、その手を離さないだろう。誰が何と言おうと、最後まで傍にいる。たとえそれが間違いであっても。誰からも理解されなかったとしても。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます