十四、ふたりがくれたもの
一番奥にある大きな邸が宗主の住む邸で、
そのまま繰り出される剣技を受け流しながら、庭の方へと降り立つと、姉であり女宗主である
血筋なのか、切れ長の眼で、表情はあまり変化がない。黙っていても威厳があり、細身で背も高く迫力美人である。
宗主が纏う特別な装飾が付いた藍色の衣を纏い、薄茶色の綺麗に纏められた髪や耳、首や手首に銀や綺麗な色の石が付いた宝飾をつけている。
「相変わらずの朴念仁ぶりだな、
「・・・姉上、お久しぶりです」
雪が積もっている地面に躊躇いもせず跪き、
「相変わらず激しい挨拶だね、君たち姉弟は」
「
「
庭から邸の中へ戻り、一同が座してから
「
「姉上、感謝します」
本邸を後にし、三人はかつて
こちらの姉は宗主とは真逆で、賑やかしく穏やかなひとだった。活発そうな明るい表情の女性で、誰からも愛されそうな大きな瞳の可愛らしい顔をしていた。
背は
「
「・・・姉上、ここでなにを?」
「あなたが
しばらくは賑やかしくなりそうだ。
もうひとりの姉を見送った後、はあと嘆息し、
疲れたのか、
「しばらくはお言葉に甘えてゆっくりさせてもらおう。もし
「・・・・そうだな、」
肩を抱いて、静かに頷く。外はもう真っ暗で、ちらちらと雪が舞い始めていた。
外を眺め、寄り添って見つめ合う。ふたり重ねた手を
****
夢の中で、ふたりに姿を暴かれた時の景色が鮮明に蘇る。
あの時、
綺麗だと、言ってくれたその言葉が、純粋に嬉しかった。
自分が自分の意志で選んだ名前。それは
その瞬間から、
それは本当に小さな、けれども強烈な太陽の光のようで。
それは、眼が開けられないくらいの輝きに満ちたセカイ。
燦々とした時間の始まりだった―――――。
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