十二、君の名前は・・・
先に目を覚ましたのは
小さな身体を丸めて離れないようにしがみついているその姿に、思うところがあった。身体を起こして、布団を几帳面に整える。
この出会いは、偶然だったのか。それとも。
(今更、放っておくこともできない、か・・・いずれにしても、)
「・・・もうちょっと、眠っていても、いい?」
「ああ。かまわない。どちらにしても出立は明日の朝だ。雪が降って来たから、しっかり準備をしてからの方がいい」
そうだね、と
それから
そのずっと前に起きていた
「・・・・私の顔になにか、ついてる?」
じっと見下ろしてくる
身体を起こし、先の方が少しうねっている長い髪の毛をすきながら、約束を思い出す。
「君の髪の毛も綺麗にしてあげないとね」
疎らな長さの髪の毛をすいて、また眼を隠してしまう前髪を分ける。
「鋏は借りてきている」
「さすが
しかし、
しかし、自分だけではこの
自分の身支度を整えて、よし、と
「
不服そうな顔で
慣れた手つきで鋏を入れ、疎らだった髪の毛は見事に整えられる。
「私が結ってもいい?」
自分の持ち物から赤い紐を取り出して、見上げてくる
前の
あとは後ろの少し長い髪の毛を纏めて結うだけだったので、大丈夫だろうと思ったのだ。
「どう?上手にできたかな?」
「・・・問題ない」
仕上がりを確認し、
左右ひと房だけをそれぞれ赤い紐と一緒に結い、それをさらにひとつに後ろで括る。かなり手間のかかる結い方だが、もう何年もやっているので慣れたものだった。
「そうだ、一番大事なことを忘れてたっ」
ぱんと両手を叩いて、
「君の名前!」
どの名前を誰が提案したかは伏せて、
仕方なく思い付いた名前を二つほど提案し、字は
四枚の紙に書かれた名前は『
そしてついにその小さな手が一枚の紙に伸びた。
「・・・・本当に、それにするのか?」
思わず、
なぜならそれは、自分が書いたものだったから。
横を見れば、
しかし
「うぅ・・・君が気に入ったのなら良かったよ、」
顔を上げて、うんうんと頷く。ちなみに
「君の名前は今日から
「・・・・・お、・・う、ま?」
ふたりは思わず顔を見合わせる。今、確かに、
それは、まだ舌足らずな可愛らしい声だった。
「うん、そうだよ。君は
「・・・しょ、らん・・・・・れ、めい」
「そうそう。これからいっぱいお話ししようねっ」
よしよしと頭を撫でて、本当に嬉しそうに微笑む
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