九、選択
朝になり、村から一番近い位置にいた術士たちに男を引き渡し、男は
うっすらと土の上に積もった雪を掃い、供物を供えた。
辺りは肌寒く、
もう少しで村が見えるだろう距離で足を止めて、翡翠の瞳が見上げてきた。
「相談があるんだけど、」
「・・・あの、
なんとなく、だが。
「姉上に頼んでみるが・・・・
他の一族や術士たちの目もあるし、なにより今まで前例がない。
「だからね、私たちが一緒に連れて行くのはどうかな?」
「・・・・・・それは、同意できない」
つまり、
いくら自分たちが力を持っていても、万が一ということもある。
「もし、君とあの
そうなれば、やはり傷付くのは
「・・・・けれど、もう、決めているんだろう?」
その性格を呆れているわけでも、諦めているわけでもなく。むしろ尊敬している。一度決めてしまったら、もう、どうしたって動かないのだ。
「ごめんね、いつも」
「本当に、いいんだな?俺は一度止めたからな?」
うん、と
視界の先に村が見える。吐く息はお互い白く、繋いだ手は冷たかった。
自分たちが付けた足跡を辿るように、ふたりはゆっくりと再び歩を進めた。
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