04_影の海
球体を作り出し、黒雲の雷を避けながら、黒瀬たちは落下していく。先の見えない黒雲に、いつ抜けられるのか不安に苛まれたが、ようやく黒雲を抜け、視界がはっきりする。
雷に打たれずに済んだ。
ここがアンブラの地上か。
いや、違う。落下先は海。
黒瀬たちの落ちる先には、広大な海のようなものがあった。だが、ただの海というわけではなさそうだ。
「あの海は、影の海。黒瀬くん、あの海に近づくのは、まずいわ!!」
紅園は、慌てた様子で黒瀬に言った。紅園の慌てる様子から、状況の深刻さが分かった。
「ただの海ではなさそうだね。影でブロックを作って、落下を防ごう!!」
黒瀬たちは、両手を伸ばし、立方体の影のブロックを作り出すと、うまいこと両足で着地する。影のブロックは、重力の影響を受けない。落下せず、空中でとどまっていた。
海から悲鳴のようなものが聞こえてきた。
悲鳴が聞こえる。
身の毛がよだつような声だ。
黒瀬たちは、ブロックの上から海を眺めた。上空から落下していた街が次から次へと落下していく。
その街を貪るように、海から無数の目が浮き出て、手が伸びる。海は悲鳴を叫びながら、街を手で包み込むと、瞬く間に飲み込んでいく。
あの異様な姿。信じられないけど、ダーカーなのか。あの海そのものが……。
漆黒の影隠師 東雲一 @sharpen12
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