概要
本当に自分が望む大切なものが分かったとき、自身はその色に染まる。
美容師として働く瀬尾。怒涛の、それこそ心身共にぎりぎりの20代を乗り越えてきた。挫折を味わい、期待を打ち砕かれ美容師を辞めていく同期を見送りながらも、瀬尾は美容師を辞める選択をしないままに自分なりの価値観をひとつひとつ捨てては拾い集めて今の美容室に辿り着いた。多くの激動と向き合うゲストと触れ合いながら。でも自身の生活も楽しみながら。気心知れた同僚に恵まれながら。
今ようやく訪れた平穏に気がついたのは、同僚佐藤に指摘されたおにぎりだった――。
今ようやく訪れた平穏に気がついたのは、同僚佐藤に指摘されたおにぎりだった――。