【完結】千世子

前触れなく現れた、謎の女性

居酒屋店主の男が、不意に抱え込んだ……運命、なのかな

危険なのはきっと分かっている、
でも彼は、その手を掴んだ

千世子……

彼女は、今……きっと幸せです

謎の少女と主人公の出会いからラストまで、短いながらもとてつもなく繊細で緻密、かつ読みやすい（決して軽くない）文体で綴られたこの作品。
言葉にするのが難しいほど素敵な物語だと感じました。
ラストの爽快感、各話タイトル、そして主題の意味。
どれもが『千世子』を現していて、文にするのも難しいのですが情緒がくすぐられます。
短編ながら、ミステリチックな部分とヒューマンドラマチックな部分がマッチしており、その二つどちらか好きな方にはたまらない一作になっているはずです。
ぜひ『千世子』の魅力にあなたも触れて下さい。

【物語は】
　主人公が経営する居酒屋にある少女が飛び込んでくるところから始まる。
　それは髪に特徴のある、不思議な少女であった。どこかから逃げてきたようで、放っても置けずしばらく家に置くことにしたのだが。

【この物語から感じたこと】
　まず1万文字に満たない短編であるにも関わらず、読み応えを感じる物語である。そこが非常に凄いと思った。
　登場人物は少ないが、そこに工夫も凝らされている。
　出逢った少女もミステリアスだが、主人公も何か秘密があるように感じた。

　物語の中では、少女言動から主人公が何かを感じ取っているようにも思えるが、それが明かされるのはクライマックスの辺り。いろんなことが繋…続きを読む

これは千世子についてのお話です。
最初、千世子についてあなたは戸惑うでしょう。
でも、物語を読み進めて。千世子はちゃんとあなたの心に残ります。

「情報の提示の仕方」というのは物語を書く上でよく語られるテーマだと思いますが、徐々に千世子の謎が明かされていくのでどんどん引き込まれていきます。

千世子、そしてももこ、とわこの謎がほどけるように解けていくとき、
悲しく切なく美しい景色が見えること間違いなし。

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（124文字）

これは、なんとレビューを書いて良いのやら······
始まりは、風変わりな少女が閉店した居酒屋に入ってくるところから。
店主の男は、いまいち会話の繋がらない少女とのやりとりをもどかしくも甲斐甲斐しく世話をしてあげます。
そんな二人のやりとりをのほほんと読み進めていくと······
この先はぜひ本編で。

非常に読みやすい文章で内容がすらすらと入ってきます。

短編とは思えない濃厚さでした。展開が分かりやすく伝わり、伏線もあってハラハラとして一気に読むことができました。次第に登場人物たちの素性が分かっていき、ラストでしっかり繋がっているという構成の巧みさに脱帽です。

短編ながら展開がテンポ良く、良かったです。