後編:それからの無雲とおいたん

 その後の無雲むうんは、心に余裕が出来たので、音楽活動を再開させながら職業訓練に通ったり、そこの学校で拾ってもらって短期事務員として働いたりして、その中でパソコンスキルをみるみる上達させていった。


 会社を辞めてから二年間、音楽活動をがっつり再開していたおかげか、音楽スキルもかつての勢いを取り戻し、クリエイティブな作業が思うように出来るようになっていた。だから、短期事務員の契約が満了になった後は、フリーランスのクリエイターとして活動を始めた。



 今、おいたんは無職だ。



 この二年間、おいたんも契約社員だった仕事の契約が打ち切られ、介護の職業訓練に通って資格を取得したり、そして就職したけどクビになってしまったりと色々あった。


 でも、無雲はそんなちょっとふがいないおいたんを責める事ばかりしたくない。



 だって、あの時君が笑ってくれたから、今の無雲があるんだよ。



 あの時、おいたんは無雲が無職になって収入が途絶える事も何も考えず、ただ無雲の身とメンタルを案じてそっと寄り添ってくれたよね。



 無雲が好きなように生きられるようにと、いつもそばで笑っていてくれたよね。



 だから、無雲もおいたんを支えたいと思っているんだ。



 大丈夫。二人で並んで歩けば、いつか道は拓けるから。



 だからね、おいたん、ありがとう。あなたの笑顔を、私はずっとずっと守っていこうと思っている────。




────了

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あの日、君が笑ってくれたから 無雲律人 @moonlit_fables

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