極楽のどん底で

ここは、あの世とこの世の境目にある、閻魔様が死者に対して「天国」か「地獄」かを定める場所。どこの誰が言い出したかは知らないが、「裁判所」といつしか呼ばれるようになった場所だ。
そんな裁判所にいる私のところには、日々思い悩む天と地の死者達が訪れる。
ここは「心理相談所」。患者さんが、自分を好きになってくれるような話をするところ。
今日も死者が来訪してくる。

「おいでませ、おいでませ。遠いところからようお越しくださいました」

今日も、私は頭を下げて歓迎する。