十月三十一日:エピローグ


 空が徐々に白み、不穏な雲がゆっくりと流れていき、清潔な朝の色に変わり始めた。

 教会の扉の奥から物音が響き出す。



『編入生』はロビーの椅子と椅子の間を通り抜け、エントランスを過ぎて、重たい寮の扉を押した。

 閉ざされていたはずのドアがゆっくりと開く。


『編入生』が寮の外に出て冷えた空気を吸うと、向こう側から顔にペイントをしたふたりの学生が歩いてきた。

「すごいな、何してんだ?」

 問いかけられた学生は屈託なく笑った。

「見ればわかるだろ、ハロウィンだよ。講堂でスタンプラリーやるんだって」

「そっか」

 もうひとりの学生が『編入生』の肩越しに、冷たくそびえる寮を眺めた。


「ずいぶん静かだけど……」

「まだみんな寝てんだ。でも、もうすぐ起きる」


 彼らは頷くと「お前らも早く来いよ」と言って、踵を返した。

 数歩進んでから思い出したように足を止めると、振り返って叫ぶ。

「ハッピー・ハロウィン」

『編入生』は手を振った。


 ふたりの学生が去った後、妖狐は寮を振り返って言った。

 扉の奥から足音が響く。

 その数を確かめると、『編入生』は満足げに笑い、喧騒が漏れる講堂の方へ歩き出した。



【配役】



 人間:『保健委員』、『風紀委員』、『吹奏楽部』、『元バスケ部』、『文芸部』


 占い師:『生物部』


 霊能者:『美術部』


 狩人:『剣道部』


 人狼:『先輩』、『映研部』


 狂人:『図書委員』


 妖狐:『編入生』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ハロウィン人狼オーバータイム 木古おうみ @kipplemaker

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ