圧倒的な世界観に、固唾を呑みながら読み進めていました。
ホラーが苦手な私ですが、どうしてもこの作品は読んでみたかった。
未知と畏怖、人の手に負えるはずもない神に出会い、何を感じるのか。
神とはそもそも、人智を越えた存在だから神と呼ばれるのだ。
神たる所以が見たい。
神に翻弄される人々が、神とはこうであったと感じられる物語が読んでみたい。
恐る恐る開いた1ページ目にして、もう引き込まれていました。
登場人物の魅力もさる事ながら、何より神の存在感が本当に凄い。
突然現れて驚かされると言うよりは、じわじわと背筋を登ってくるような感覚。
気づけば、神の領域にいた。
手のひらの上に立ち、いつ握り潰されるかも分からない恐怖と、未知の体験に怯えている。
そんな得体の知れない世界を、読むだけで味わえるのだ。
これだから、本を読むのはやめられない。
世界観を鮮明に思い起こさせる文章力。
そして、確かな描写には脱帽させられました。
本当に素晴らしい物語です。
ホラーが苦手な私でしたが、読み始めた途端、不可思議な世界の中に取り込まれて、もう戻れなくなっていました。
まるで、心が神隠しにあったかのよう。
こんなに怖かったと面白かったを両立して感じられる作品があったなんて……。
間違いなく秀作です。
既に有名かもしれませんが、まだの方はぜひ読んでみてください。
引き続き、作者さまのご活躍を心から応援しております。
最初、いわゆる『洒落怖』のような都市伝説系のオカルト短編だと思って読み始めたのですが、回を重ねるごとに募る些細な違和感。
意図的に配置されたそれらの伏線が、後半へ進むにつれて怒涛でありながらも無理やり感のない綺麗な回収のされ方をしていくのには感嘆の息を漏らさずにはいられません。
下手に物語について触れるとネタバレを踏みかねないので、とりあえず読みましょう。読んで後悔することといえば、つい最新話まで一気読みしてしまい、都築が待ちきれなくなることぐらいでしょうか。かくいう自分も、あぁ、もう少しゆっくり読めばよかった、と後悔しています。
二周目も楽しめること間違いなしの作品です。とりあえず読みましょう。
第三部も心より楽しみにしています。
畏れるべき、人の尺度では測れない神とそれを調査して被害をなるべく抑える主人公側の奔走。神秘的だが神故の行動原理で事件を解決したり曖昧に終わらせていくところがとても私好みでした。
個人的にですが、こういった怪異ものの物語を読むときに求めていた理想がこの「領怪神犯」といっても過言ではないくらいに嗜好に当てはまっていました。
コミックスの1巻からこの小説を知りましたが、こういった連載形式ならではの話数の区切り方や物語構成が内容とも合っていて面白くすらすらと最新話まで読み切ってしまいました。
読み進めるたびに物語の世界により深く触れられるような感覚を持ちました。
とても素晴らしい物語をありがとうございます。
作者自身もおっしゃるように、SCPや陰湿因習寒村の成分を大量に摂取できる短編連作です。私の抱いた印象は和風X-FILEでしょうか。
不可解で異常な事件が起きながらも、警察が動くほどわかりやすく直接的な被害ではない塩梅が絶妙です。
人智の及ばない超常存在に対し人間はどう向き合って生きるのか。
報告書くらいは書けそうだけどなかなか根本的な解決には至らないもどかしさ。
殊更に恐怖を煽るのではなく、静かに迫るようなおぞましさが魅力的なホラー作品です。
好きな神は……「辻褄合わせの神」ですかね。
神の二面性というか、人間次第で善神にも悪神にもなるというか……。
「ひとつずつ降りてくる神」も想像できるビジュアルがキモくていい……。
「ひと喰った神」も、不気味だけど別に困らないのでは? 本当に? という油断ならない危うさが……。
つまりぜんぶ好きです。
善とも悪ともつかず、目的も理由もない。ただ人智を超えた存在、それが「神」。
役所から派遣された片岸と宮木は、「領怪神犯」と呼ばれる怪奇現象を調査していた。
ある村では神の身体の一部が定期的に舞い降り、またある村では死者の内臓が食い荒らされる。片岸と宮木は記録はしても解決策を見出すことはできず、ただその場しのぎの対応に終始する。果たして、人の手に「領怪神犯」に抗うすべはあるのか――?
各話は「序」と「一、二、三」で構成されている。
「序」では村人の軽妙な語り口によって怪異が語られる。しかし、どこかピントのずれた説明によって、恐怖感を煽られるとともに、「神」への興味が掻き立てられることだろう。
そして、「一、二、三」では主人公である二人が登場し、調査を行う。だが、そこで恐怖は絶望と畏怖へと変わっていく。強い実感とともに、神々は人の手には負えないという事実を突き付けられるからだ。
作者の変幻自在な語り口の妙、奇異なる行動をする得体の知れない神々、それに対する主人公たちの焦燥。そのどれもが読者を絶望の淵へと誘導していく。
人智を超えた存在をまざまざと描き、理解できないままに圧倒的な余韻を残す伝奇ホラーの快作。