概要
第二次世界大戦後の日本。闇製品が出回り、チンピラ浮浪児が跋扈する東京。
文武両道で皆から慕われているが、不遇な境遇のため将来に悲観している元浮浪児「匠」。
英雄になる事を夢見ている、小指の無い少女「今村」。
戦災孤児だが希代のホラ吹き「ブギ」。
大切な人を戦争で亡くした漫画描き「私」。
それぞれに心の傷を抱え、家族と離れて暮らす4人の悪童たちが、冒険の旅に出る。
悪徳施設からの追手、野宿、過去の不良仲間、虚ろな目をした復員兵……。
様々な経験をしながら、果たして彼らは宝物を見つけることができるのか。
物語を追ううちに4人の過去が明らかになり、現在、そして未来に続いていく。
ーーオレさ、人間は幸せになるようには出来ていないと思うんだーー
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!『黄金の骸骨』を探す30年の旅路の果て、あなたはきっとカタルシスを得る
戦後間もない昭和20年代前半、1949年夏。
1951年からの朝鮮特需、その後の高度経済成長など見通せない時代。
飢餓で行き倒れが珍しくない時代、ある養護施設『しあわせの村』で巡り合った4人の仲間たち。
「日没に骸骨が踊るらしいぜ。すげぇんだ、黄金なんだってよ」
1人がこう切り出して、4人は『黄金の骸骨』を探しに旅に出る。
幾多の川を越え、泥道を歩き、時に命の危険もある冒険の旅へ――。
丹念な時代描写が特徴の巧みな筆致は、その時代を知らない私たちの脳裏に、色彩のある光景を映し出す。
この作品は映画を見るように読むことを勧める。映画の中身が理解できなくて、もう一回眺めてみると違った理解が広が…続きを読む - ★★★ Excellent!!!黄金の骸骨、一緒に探してみませんか?
僕は普段ライトな異世界系ばかり読みがちなのですが、ご縁があってこちらの作品を読み始めましたところ、その描写、時代考証、登場人物達の物語に一気に引き込まれてしまいました。
世に言う名作というのはとかく『凄みがある』のですが、それを感じた僕は、この作品は完結まで追わねば後悔するぞと時にワクワクしつつ、時に感涙しつつ、圧倒されつつ、無事最後まで拝読しました。
面白かった、凄かった、素晴らしかった……
作者の釣舟草さんは物語の『象徴』を大切にされており、そこに深いテーマを乗せてらっしゃいます。
黄金の骸骨。
それが示すものがなんなのか、少年少女の冒険と成長を通し、彼ら彼女らの隣に立つ親友の一…続きを読む - ★★★ Excellent!!!Webの海でこんな時代小説に出会えるなんて!
1949年の風が此処には吹いている!!
緻密な時代考証と細部にまで至るまでのこだわり。それらによって、戦後日本の空気感が重厚感をもって描き出されている。本当に「そこにあったんだ」と説得力をもって思わせられるリアリティへの追求。それなのに、読みやすくライトに仕上げられている。
戦後間もない時代を描くという挑戦。
平易な文章に仕上げるという挑戦。
作者様の力量に驚かずにはいられない。
だから、黄昏の中で踊る骸骨にたどり着いたとき、モニターの中に「それ」はいなかった。物語を紡ぐ少年少女のすぐ横で、一緒にその正体を暴いた。もはや、冒険の傍観者ではなかった。
過去から続き、現在、未来へとつなが…続きを読む