傘や龍神

昔、ある土地で人に悪さをする龍がいた。
龍は嵐と雨を呼び、その地の人々を苦しめていた。

嵐で家は壊れ、大雨で畑は流され、長い雨天で病に罹る者が続出した。
人々が困り果てたそのとき。

天からひとりの天女とその従者が現れ、人々の頼みを聞き入れて龍と戦った。
天女と従者は龍と幾晩にも及ぶ死闘を繰り広げた。
激闘の末、龍はその地の池のほとりの要石に封印されたのだ。

それが今の龍神池である。
要石に封印された龍は力を徐々に奪われ、力は雨となって降り注ぐという。
実際、この地では雨がよく降るといわれている。

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天女が悪龍を封じた伝説が残る雨の多い村。天女の生まれ変わりの少女と、その養い親の傘屋の青年、そして少女と交友を持つ不思議な男。三人の過去と現在と、伝説をめぐる物語です。