どうでもいい君とどうでもいい私のどうでもよくない物語

小道具に謎の古代生物「スミロドン」を扱う辺り、
いい意味で曲者感が満載の今作だが
スプーンの考察から始まって、伸びた背丈の比較
大事な時に機能しない文房具、自然界の青について
生命倫理に触れる回や
上記のスミロドンについても言及がなされ
僕は楽しみもって、１話毎に意見をしたためて行った。

主流になりつつある３桁連載とは無縁の
優しい読切サイズで
僕もこれ位の尺で主張を留めようと思った程。

短過ぎても味気ないが
長編過ぎると萎えるのは定石。
シリーズ化を視野に入れるなら、連作も一興だが
その辺は固定読者との信頼関係だと思う。

ｔｅｓｔｔｅｓｔさんを知るには、
充分過ぎる参考資料となった。…続きを読む

初めて読むタイプの恋愛ものです
物語を読んでキャラクターを知るのではなく
「私」を通して登場人物の輪郭を捉えていくのです

どこか息苦しさを感じる空気は思春期だからこその感性で、それを十分に発揮した作品に出会えたことを光栄だと思いました

本作はいわゆる恋愛を主軸に置いたジュブナイル小説。
一見すると何でもないようなエピソードが続きますが、最後まで読めばきっとその必要性が理解できるはず。
個人的には、中学校という特異な環境。中学生という特殊な時代を舞台にされているのがこの作品のミソなのだと思います。
学力はバラバラ、個性や自我は芽生えたばかりで、それを抑圧する社会や秩序も比較的薄い。そんな中で知り合う男女というのはやはりまったく違う人種で、だからこそその愛が尊いものに感じる。
誰もが一度は感じたあの頃のカオスな感覚をまた体験できるかもしれない。
そんな作品です。