第29話 勝ち逃げ
「───どすこい、どすこい、どすこい、どすこい・・・!!」
巨漢の力士が
・・・な、なんだ?
一体どういうことだ?
おいどんは、
おいどんの張り手は、一撃必殺の威力!
それを100本の腕から50発同時に打ち続けているのに・・・
───何故ビクともしない!!
こんな小柄の男なのに倒れないどころか苦痛の表情すら浮かべないなんて・・・
「なるほど・・・卓球以外は、理解した。」
「いい気になるなよーー!!」
「チェン、後ろ!ヤバイヨ!!」
張り手を止めた力士が腰を落とし、上体を下げ、
「───っ!!?」
取り組んだ瞬間、鈍い音が響き渡る
・・・一切動かない!
この感覚、覚えがある!!
これは、まさに大地!
地表相手にぶつかり稽古しているみたいだ!!
・・・認めよう
・・・・・・認めてやろう
───お前は、強い!!
小結では、なく!横綱相手に取り組んでいるつもりで闘おう!!
これだけは、使いたくなかったが・・・
「奥の手だーー!!」
「「「───な、何いぃぃぃーーー!!!」」」
力士の腕が再び何倍にも増え始める
「おいどんの
「・・・マホ、この後 大事な話がある」
1000本に増えた腕を持つ力士に取り組まれながらも気にすることなくマホ達の方へ視線を向けて話しかける
「「「───えっ!!?」」」
簡辛達が驚きの声をあげる
「マ、マホ様!大変ですよ?男が女を呼び出すということは・・・」
「やったヨ!アイツも角に置けないネ!!」
「あぁ~・・・マホ様に神のご加護を・・・!!」
「・・・ったく!妾が魅力的だからといって・・・マセガキじゃのぅ~!!」
簡辛達が戦地というのも忘れ、女子高生の昼休みのようにきゃっきゃっとはしゃぎ始める
・・・あれ?
何か
「この状況で求愛するなんて相撲を馬鹿にするのも大概にしろ!!」
───いや、してねーよ!!
「100本の腕に取り組まれながら900本の腕で張り手を食らう地獄を味わえぇぇーー!!」
『・・・・・・マッサージ師としては、及第点だな』
・・・クソ!
クソクソクソクソ・・・!!
何なんだ!コイツは!!
聞いていた話と違うじゃないか!!
おいどんの体重の半分にも満たない男に・・・
・・・ま、負けるのか!
こんな場所で黒星を付けられてしまうのか!!
───否っ!!!
負けるぐらいなら・・・!!
「出て来い、幕下共ーーー!!」
「「「───ごっちゃんです!!!」」」
ドコからともなく現れた力士達が半壊したこの宿へと集結し始める
『・・・・・・何だ?この豚の群れは・・・?』
「よく言うだろ?力士1人みたら30人は、いると思えって・・・!!」
言わねーよ!ゴキブリじゃないんだから・・・
「この温泉街の人口の8割は、力士だ!湯水の如く湧き出てくるぞ!!」
「な、なんネ!このデブは!?人口密度で温度が・・・湿度が・・・上昇してるヨ!!」
「蒸れるの~!喉渇いてきたわ!」
「待ってて下さい!直ぐに飲み物を持って来ます!!」
汗をかく雇い主の為に、カンナが飲み物を買いに走る
「今回は、貴様に勝ちを譲ろう!次は、同じようには、いかんぞ!!───さらばだ!!」
集まった大勢の力士達の汗と熱気が蒸気となって、その蒸気が湯気になり濃い霧を発生させ逃亡する
「・・・な、何だったんだ?アイツは・・・!!」
力士達が去ったと同時に霧も消え、視界が晴れる。
こんな
・・・わ、わからん!
考えても無駄なのか?
いや、それよりも何よりも一番の謎なのは・・・
「マホ様、水と化粧品です。・・・うん、綺麗ですよ!」
「マホ様に祝福を・・・」
「これは、2人きりにしてあげた方が良いアルか?」
「全くお主らは、大袈裟じゃよ!!」
───何か
・・・どうしたんだ?
「マホ、例の件なんだけど・・・」
「───ごめんなさい!小僧の気持ちは、有り難いけど・・・出会ったばかりで まだ異性として見てないんじゃ!!」
「オイ、何で告白していないのにフラレたみたいになってんだ!
「・・・・・・あぁ~・・・はいはい・・・わかった・・・そういうことにしておいてやるわい!!」
いや、誤魔化したんじゃねーんだよ!
最初から この話題だっただろうが!!
「消せるって言ってたけど・・・アレ忘れてくれ!」
「えっ!チェン、良いアルか?消したくて旅をしてたのに・・・折角のチャンスを・・・」
・・・確かに
この異形な体から解放されたい!
元の生活に・・・平穏な日常へと戻りたいとさっきまで思っていたが・・・
それよりも今は・・・
「───走るぞ!!」
「「「───っ!!!?」」」
「この惨劇だ!直ぐに武装警羅隊が駆け付けて来る筈だ!!捕まれば弁償させられて下手すりゃ逮捕、死刑だ!!───ダッシュで逃げるぞ!!」
「わたくし達は、正当防衛です。そのようなことは、せずに相手の目を見て真摯に説明すれば・・・」
「───シスター走るヨ!大丈夫、大丈夫だから・・・ワタシらに任せて行くネ!!」
「・・・卓球の続きは、せんのか?」
「今回は、保留で私らも離れましょう!!」
簡辛が渋る聖女様の手を引き、カンナは、マホを連れ、全員でこの場を離れる
最弱でビビりな主人公が龍の刺青を彫られて・・・訳あり無双系主人公に!! トンテンカン @tontenkan25
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。最弱でビビりな主人公が龍の刺青を彫られて・・・訳あり無双系主人公に!!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます