第28話 力士

「―――どすこい、どすこい、どすこい、どすこいーー!!さっきまでの威勢は、どうした?」

腕を10本に増やした力士が全ての腕を使って張り手を繰り出していく


「・・・何処、目掛けて攻撃しているの?私は、ここだぁぁーー!!」

「―――っ!!」

10本の腕から放たれる張り手を掻い潜って力士の懐へ潜り込んだカンナがアゴへ上段蹴りを決める


「・・・1発、入れたぐらいで調子に乗るなよぉぉーー!!」

「・・・・・・!!」

四方八方から繰り出される張り手がカンナを襲う


「・・・に、逃げるネ!カンナーー!!」


もう、あの化物の異次元から放たれる張り手を回避するのは、不可能ヨ!!


「・・・・・・―――アチョー!!」

「―――んぐっ!!」

凄まじい怒濤の張り手ラッシュをカンナが紙一重で受け流していき、力士の胴体へカウンターで掌底を打ち込む


・・・な、何で?

アレを躱せるアルか!?


あの力士デブは、悪魔デビルズ刺青モンモンヨ!!


「言ったでしょ?腕がいくら増えようが攻撃が単調でワンパターンだから回避しやすいって・・・!!」

「・・・こ、この・・・アマーー!!」

力士の怒りのボルテージがマックスになり、形振り構わずに襲い掛かる


「・・・・・・」


・・・・・・はぁ?

・・・単調?・・・ワンパターン?


一体、どんな動体視力してるアルか!?


あんなの大雨の中をカサを差さずに歩き、雨粒に濡れないように進むようなもんヨ!


それを楽々と・・・!!


「お主ら、一体何をやっとるんじゃぁぁーー!!」

マホが突然、大声を上げる


・・・や、やっとアルか?

漸く幼女マホも、この状況に気付いたカ!?


「折角リードしたのにスコアボードを壊すな!じゃれるなら外でやれ!!」


―――あっ!全然、理解してないネ!!


まだ頭の中、卓球でいっぱいアル!!


「カンナ様ーー!旅館の関係者、お客様は、全て避難完了させました。」

聖女様が無関係な人間を巻き込ませない為に安全な場所へと誘導させる


「・・・あ、ありがと、シスター!・・・―――けど、その位置は、危険だから離れてね!!」

「・・・は、はぁ~」

10本の腕を生やした力士の目の前に立つ、聖女様を心配するが高速で走り回る聖女様が張り手ラッシュを軽々と回避する


・・・な、何ネ!

シスターまで悪魔デビルズ刺青モンモンを持つ相手にも引けを取らないヨ!!


あんな平然と・・・


―――凄いアル!!


ワタシもいつかそんな風に・・・!!


「揃いも揃って・・・クソアマ共がぁぁぁーーー!!」


「「「―――っ!!!」」」

力士の腕が更に増え、100本になり、簡辛達が驚愕する


・・・このデブ!

一体、何の悪魔デビルズ刺青モンモンアルか!?


「潰れろーー!!全方位張り手ーー!!」

「・・・こ、これは、マズイ!シスター!!」

「―――はい。」

躱す隙間もない数の張り手が押し寄せて来て、カンナがマホをシスターが簡辛を連れて、一気に走り切ろうとする


「・・・ダ、ダメネ!間に合わないヨ!!」


このままじゃ、全員押し潰されてしまうアル!?


「・・・捻り潰してや―――っ!?」

「・・・待たせたな!大丈夫か?ケガは、ないか?」

猛スピードで飛行して来たチェンが壁をブチ破り、助けにやって来る


「それは、コッチのセリフネ!チェンの方が大丈夫アルか!?一人、傷だらけヨ!!」

助けにやって来たチェンの容態を心配する


「・・・いや・・・これは・・・あの・・・アレだよ!―――転んだだけだよ!!」

「もう少し、受け身を覚えた方が良いよ!!」

「そんな細かいことは、今、良いんだよ!!」

チェンの発言を間に受けたカンナが受け身を教え始める


「・・・・・・何者だぁ?テメーは!!」

「・・・―――って、うおっ!?・・・な、何だ!コイツ!!手、多っ!!」

異形な姿の力士の姿にチェンが驚く


「・・・そ、それより、早く逃げるヨ!!」

簡辛がチェンへ逃げることを催促する


「・・・逃げる?・・・何言ってんだ!簡辛!!」

「・・・あ、危ないヨ!」

「―――退かねーなら、死ねぇぇぇーー!!」

力士が繰り出した100本の腕から放たれる張り手をチェンが受け止める


『・・・何だ?この打撃は、マッサージにもならないぞ!肩叩きするなら真面目にやれっ!!』

張り手を受けたチェンは、ビクともせずに平然としている


「その強がりは、何時まで続くかな・・・?」

力士がチェンに向かって張り手を放ち続ける


「・・・誰か!簡潔に状況を説明してくれ!!」

「10対4で妾のダブルスがリードしておる!」

「―――いや、もう卓球の話は、いいヨ!!」

1人卓球の話をするマホを無視して簡辛達が戦況を伝える

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