作品の舞台裏:てのひらものがたり

 そういえば、このエッセイ的な文章では自分自身のことばかり語っていましたが、作品の裏側というか、後書きというか、そういうのを語ってみたいなと思い、順々に語ってみることにしました。

 連載中の作品からまずは取り上げてみます。詩集の「てのひらものがたり」(https://kakuyomu.jp/works/1177354054921262062)です。


  * * * * *


 最初に、この詩集の名前から触れておきますね。(以前、近況ノートにも書いた内容の再録になるのですが)


 カクヨムに詩を掲載する際、まず必要になったのが作品名――詩集名でした。

 こういった投稿サイトに、詩一つ一つを別作品として登録するとなると、あんまりにも数が膨大になりすぎてしまうんですよね。一つの作品(詩集)を作って、その作品内で個々のエピソードとして詩を公開していく方が管理しやすい。

 ですが、今まで個人サイトで詩を発表していたものの、別にそこには名前は付けていなかったんですよ。「詩のコーナー」みたいな、分類名だけしかつけてなくて。だもんだから、カクヨムに登録する際に困ってしまったんです。でも、作品名を決めないと詩を掲載できないし……っていうことで、とりあえず「詩集のようなもの」と仮名を付けておいたわけです。てきとう!(笑)

 しかし詩の数も50を超えたし、流石にそろそろ、もう少しちゃんとした詩集名を付けた方がいいんじゃね? と思いまして。「てのひらものがたり」と名前を付けました。


 元々この名前は、文学フリマで無料配布した掌編集の名前でした。他にも色々考えたんですけど、どうもしっくりこなくて。結果、以前別の作品集で使ったこの名前をリサイクルすることになりました。また、作品のキャッチコピー「零れ落ちる欠片と、掬い上げる欠片と。」も、実はリサイクルです。こちらは、かなり前に公募に出す際に使った詩集名でした。


 それぞれ違う時期に作った作品集の名前から取ったんですが、互いに響き合っているような印象があるのは、私自身が「詩」や「掌編」というものに対して持っているイメージが同じだから、なのかもしれません。

 曖昧で連続している世界から気になる部分を掬い上げて、掌に乗ったその小さな世界を見せている、というか。でも一方で、零れてしまった世界にもどこか未練を残しているような。そんなイメージですね。まさか時を超えて同じ場所で使う羽目になるとは思っていなかったので、自分でも驚いていたりします。

 

 さて、詩集名のお話が終わったところで、次は作品本体の裏話や、印象に残っている詩などについて。

 

 まずは詩集の一番最初からしばらく載っている作品群、「君と僕とを繋ぐもの」~「映画が終わる時」の裏話をば。

 こちらですが、元々はWeb上の詩の企画「Web詩誌 彩蓮」(http://nanos.jp/wmsiren/)に参加させていただいていた作品です。この企画は、毎月一回発行されるWeb上の詩誌に、継続的に詩を発表していきましょう、という趣旨のものでした。(継続性が問われるので、2回連続で発表できないとメンバーから外されてしまいます)締め切り近くになってもなかなか詩が思い浮かばなかったりして、結構大変でした……。

 それで、定期的に作品を発表するという面白い企画でしたので、せっかくなら普通に作品を発表するだけじゃなく、新しいことをしたいなと思いまして。


 詩の作品名でしりとりしてました。(お気づきいただけたなら嬉しいです)


 で、ちょうど「映画が終わる時」で最初の文字に戻ってこれたので、ここで一区切りしました。この詩を発表した時にちょうど個人サイトも閉鎖したんですが、そのお別れの挨拶代わりにこの詩をトップページに置いていたんです。詩の内容的にも、自分の中での区切りとしても「終わり」にちょうど良くて。だからしりとりもこの詩で最後にしました。あんまり続けても飽きちゃいますしね。

 ちなみに個人サイト閉鎖後も、Web詩誌には参加させていただいておりました。「君は鬼」~「積み木のお城」が、Web詩誌上でだけ発表していた作品群です。このまま埋もれていくものだと思っていたので、まさかこうして、改めて日の目を見ることができるとは。そして、また他の方に読んでもらえるとは。嬉しい限りです。

 

 それと、作品名のことだけじゃなくて、Web詩誌参加作品群の内容のことも少し。Web詩誌という、継続的に作品を掲載する特別な企画に参加するということで、特に意識していたのは、「毎月違った雰囲気の詩を作りたい」ということでした。私は特に意識せずに書くと、どうしても散文的というか、小説的な詩ばかりになってしまうんですよね。「暮れなずむ街」(https://kakuyomu.jp/works/1177354054921262062/episodes/1177354054921265858)「海原の人魚願望は」(https://kakuyomu.jp/works/1177354054921262062/episodes/1177354054921265466)あたりが分かりやすいでしょうか。

 なので、いつもとは違う、心情描写が中心の詩なんかも意識的に書くようにしていました。一人称で、歌詞を書くようなイメージというか。そうして出来た「レモンスカッシュ」(https://kakuyomu.jp/works/1177354054921262062/episodes/1177354054921265709)なんかは、普段書くものとは全然違った仕上がりになりました。

 こうした機会が無いと、なかなか新しいことには挑戦しにくいですよね。自由に書きたいものだけ書くのももちろん良いですが、敢えて制約(しりとりだったり、雰囲気を変えて作品を書くとか)をかけて作品を書くというのも、自分の視野や幅を広げるのに良かったんじゃないかなと。今更ではありますが、そう思っています。

 

 

 制約、という意味では、お題に基づいて作品を書くというのも同じでしょうか。小説でもそうなんですが、私はお題に基づいて作品を書く、というのが結構好きだったりします。お題に基づいて色々な言葉や情景を連想したり、その連想した物事について色々調べてみたりする。そうしてバラバラに集めた要素を組み合わせ、作品を膨らませていく。そうすると、普段なかなか思いつかないような意外な作品が出来上がったりして、とても面白いんですよね。

 なので、Web詩誌参加作品以外だと、お題に基づく詩も多いです。「おはなし ひとひら」「カラーズ・カラーズ」なんかのシリーズなんかは正にそうですね。

 そんなお題に基づいた作品の中で特に印象に残っているのは「とおあまりふたつ、の君と僕」(https://kakuyomu.jp/works/1177354054921262062/episodes/1177354054921313584)でしょうか。こちらは「一文字で綴る12のお題」というお題に基づき、「君と僕」という、名前の無い誰かと誰かの関係性を描いた作品群です。

 この作品を描くにあたって思っていたのが、色々な関係性――「僕」の、「君」への色々な感情を描きたいな、ということでした。恋愛や友愛といった優しい、暖かな関係性はもちろん、嫉妬とか後悔のような、冷たい、辛い感情も積極的に描こうと。お借りしたお題が漢字一文字という、凄くシンプルなお題だったので、色々と想像を広げやすかったんですよね。

 先にも書きましたが、私は自由に書いてしまうと、詩の内容や書き方が偏りがちになってしまうんですよね。小説的っていうのもそうですが、暗い内容の詩が多めになってしまう。なので、こうして12個全体の詩のバランスを見つつ、色々な感情の関係性を描けたのは本当に面白かったです。

 

  * * * * *


 さて。何となく作品の裏側的なことをだらだらと喋ってきましたが、長くなりましたし、そろそろ締めますね。

 この詩集については、今後もちょこちょこと更新していくつもりです。個人サイトに載せていた作品を少しずつ再録しつつ、一方で、新しい作品も少しずつ書いていきたいと思っています。(今は書きかけの小説があるので、それを書き終えてから、でしょうか)

 ただ、再録に際して迷ってるのが、写真をお題にした作品があることなんですよね……。実際の写真を見て、そのイメージから作品を書いたものなんですが。個人サイトで掲載していたときは、背景画像に設定して、詩と写真を一緒に見てもらえるようにしていたんですけど、カクヨムでは画像挿入が出来ないもので……。他のところに画像だけアップロードして、そのURLを記載するしかないかな? それとも諦めるか。この件に関しては、他の方の表現方法なんかも参考に、しばらく迷ってみようと思います。

 

 それでは、今回はこのあたりで。長々とお付き合いくださりありがとうございました。

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