(小ネタ)はつこいのひと。


『はつこいのひとは、くろくてでっかくて、めがとんがったひとです。 らぁら』



――ある日、絵本の間からこんなラクガキを見つけてしまったラディアス。


ラディアス「……これって、兄さんのことかなぁ」


ヒビキ「いや! 絶対大将だと思うッ!」


イェリオ「……ジンさん、……かも」


ドレンチェリー「まさかぁ。ジンちゃんはとんがってんじゃなく、糸目なだけじゃないィ」


ヒビキ「じゃさ、ラァラに聞いてみればいいじゃん!」


ラディアス「……ぇ、それはちょっと……」



――結局、問い質された本人ラァラは大騒ぎの末に紙を破り捨て、真相は闇の中に。



グラッド「…………。(私の事なら、と書くだろな)」


ロン「なんだ狼、俺の顔に何かついてるのか?」



――狼は相変わらず地獄耳でした、と。






銀闇ぎんやみ「まぁ、彼女の娘ですからね……小鳥は。あと五年もしたら、十分射程範囲ストライクゾーンなんじゃないですか?」


グラッド「だからってどうしろというんだ。〝狙った獲物は逃さない〟あの黒鷹くろたかだぞ、俺に死んでこいというのかおまえは」


銀闇「まさか。妨害しろなんて言いませんよ、むしろ私は応援してるくらいですが?」


グラッド「……は? 本気かジェイス。相手はあの、黒鷹なんだぞ?」


銀闇「いいじゃないですか、小鳥自身も懐いてますしね。逃げた〝男〟をあきらめきれずに女神やら天女やら毎晩わめいているより、よほど健全ですよ」


グラッド「………………。確かに、事実ではあるんだが、……なんというかこう、さすがにその言い方は、黒鷹が気の毒に思えるんだが」


銀闇「狼の同情なんて貰ったら、余計気の毒なだけでしょう。愛とか恋に理屈など無用ですからね、放っておけばいいんです。……無論、小鳥と黒鷹にしてもね」


グラッド「…………。(ため息)」


銀闇「それより自分のことでも心配しなさい? いつまで独り身でいるつもりなんですか」


グラッド「……放っておいてくれ。地獄の果てで、色恋なぞする気になれるか」




----------


 ファンシーなタイトルなのに、羽鳥作品では随一の殺伐さを誇る(?)「旅医者〜」後日談みたいな小ネタです。

 実質的な続編は、くあら様の作品にて。



「旅医者と空色タマゴ」

https://kakuyomu.jp/works/1177354054888470304


「寂しがり屋の夢魔と薄藍の小鳥」

https://kakuyomu.jp/works/1177354054889411656




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る