もしやVRゲームの世界?
「え…?なんでWindowsのエクスプローラーが…?」
そう、明らかに目の前にあったものはPCに保存したものを見ることができるエクスプローラーのウィンドウだった。
デスクトップやドキュメント、PCやネットワークの文字は、毎日のように見てきたパソコンの画面と全く変わらないレイアウトとフォントで、そこに表示されていた。
「ここは異世界じゃないのか…?」
明らかに目の前に開かれているのは、ステータスウィンドウではなく見慣れた現実のPCウィンドウなのだ。
これは自分が異世界にいるのではないということを厳然と示していた。
しかし、それならそれで疑問がある。
「これは夢なのか…?」
ウィンドウはPC画面上では無く、自分の目の前に開かれている。
そして、今自分は何もない白い空間にいる。
これらの説明はどうすればいいのだろうか?
「まあ、とりあえずこれを見ていったら何か分かるかもしれないな。」
ここでごちゃごちゃ考えてもしょうがない。
そう思い、改めてウィンドウをのぞき込んだ。
「えーっと、今開かれているのはPC>Windows(C:)>Program Files(x86)>No.100>Virtual Officeか…」
どうやら、今自分のいる白い空間は、最後に書いてあるVirtual Officeというところらしい。
ただ、Virtualというからには…
「自分はVRゲームでもしているんだろうか?」
実はMRIに通されて身体情報をVR空間で再現され、検査に来たのは記憶違いで遊びに来ただけだったとか…?
「あまりそんな気もしないな…」
流石にそういうゲームを遊びに来たというワクワク感も無い上に、あまりに精緻な身体がここにあることが、自分が今ゲームの中にいるという考えを否定していた。
さっき今考えてもしょうがないと言ったくせに、そんな考えをまた巡らせつつ、ウィンドウの中身に視線を戻す。
「みたことの無い拡張子がいくつかあるだけか。本当にどういう仕組みなんだ?」
どのようなプログラムを組んだらこんなに精緻な体や果てしない白い空間が作れるのだろうか。
どうしようもなく、答えの出ない思考が頭の中を駆け巡る。
No.100のファイルも見てみたが、またも知らない拡張子やロックされたファイルが並んでいるだけだった。
「このロックされたファイルは少し怪しいな。」
まあ、これがゲームなんだとしたら、そのうちパスワードを手に入れられるのだろう。
やはり今考えてみても仕方のないことだった。
「とりあえず、デスクトップでも見てみるか。」
そう言いつつ、デスクトップの項目をタッチする。
すると、自分がデスクトップに飛ばされるのでは無く、目の前にデスクトップのウィンドウが開かれた。
デスクトップにはゴミ箱、Google Chrome、Microsoft Edge、Officeが並んでいるだけだった。
「最低限しか入れてないのかこのパソコンは…」
先ほど、エクスプローラーのPC>Windows(C:)>Program Files(x86)や PC>Windows(C:)>Program Filesを見てもめぼしいものはなかった。
セキュリティソフトすら入っていなかったのだ。
「NortonかBraveくらいは入れようぜ…」
他には大事なものはなさそうだが、このNo.100というファイルに入っている情報は流出させたら危険ではないのか。
もしかしたら、ロックされているファイルの中に何かあるのかもしれないが。
「まあ、とりあえずインターネット環境は整っているみたいだな。」
本当にそれだけはありがたい。
まずはTwitterでも開いてみよう。
「スクショとか取れたらいいんだけどなあ。…ん?」
Twitterを開くとそこには3分前に呟かれたツイートがあった。
「スタバ行ってきた!(ラーメンの写真)」
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