概要
捨てられ、忘れられた数々の思い出が眠る【オモイデ屋】。
不死の血が生んだ妖魔が眠る【黄昏庭園】。
【オモイデ】と【黄昏】が混じり合い、呼び寄せる悲しみは絶望だけなのか——
都筑颯太は学校帰りに兄・郁人が働く古物商店【オモイデ屋】に向かう。郁人が大学を辞め、働くことを決めた理由を知るために。
【オモイデ屋】に向かう途中、颯太は奇妙な青年とすれ違う。
長く白い髪と端正な顔立ち。
黒い眼帯と頬にある生々しい傷痕が語る不気味さと物悲しさ。
その姿から颯太が感じ取ったのは、愛読する小説【黄昏の慟哭】に登場する不死の死神リオンのイメージだった。
【黄昏の慟哭】
それは死神リオンと人間マリーの繋がりと別れのドラマが描かれた物語。
人になることを願い、自らの翼を斬り落としたリオン。
願い叶
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!物語を綴ることの素晴らしさ!
人の生命、生きて死ぬということの素晴らしさ、また死なないということへの苦悩。沢山のメッセージが込められたガラス細工のようにキラキラとした美しい作品だと思います。
月野さんは恐ろしさと優しさが同居した文章を書かれる作家さんで、読むたびに自分の物語を綴ることの素晴らしさを教えてもらえます。
そしてこの作品はこの作者にしか描けない物語です。
読み終えて心に残るのは人が人生を歩んでいけることの幸せ。主人公たちは試練を通して自分たちの未来を歩み始めました。絶対的な希望という言葉が今も私の心に残っています。
物語は儚くそして美しい、読了した今心に溢れるのはそっと寄り添う優しい希望です。
彼らの生きる未来…続きを読む - ★★★ Excellent!!!美しい世界観が魅力の、幻想的な現代ファンタジー。
人付き合いが苦手な、高校生の男の子、都筑颯太。
彼は兄が働く古物商店【オモイデ屋】に向かう途中、一人の青年とすれ違う。彼は颯太が大好きな小説の作者で、そこから運命が動き出す。
死神や天使が出てくるファンタジー要素の濃い作品ですが、激しいバトルがあるわけではなく、描いているのは人と人との繋がりと、暖かな願い。
時に心を暖めてくれて、時に切なさで胸がキュッとなるような文章が、物語の世界観をカラフルに染めています。
個人的なイチオシキャラは、【オモイデ屋】の店主の和嶋時雨さん。
優しい彼は場を和ませてくれて、閉ざされた心を開く天才。読者の心も暖めてくれる素敵な人物です。 - ★★★ Excellent!!!美しい世界観と人の願いが、読む者の心を揺さぶる
颯太は、兄の働く古物商店に売られた一冊のノートを手にする。それは彼の愛読書、【黄昏の慟哭】の作者、ダークティアラが書いたものだった。
そこから颯太はダークティアラに纏わる事情を知っていく事になるのですが、ジャンルにも書いてあるようにこの物語は現代ファンタジー。当然起こる話も、現実離れしたものとなっています。
なのに本作が読む人の心を惹き付けて話さないのは、物語の核となっているのが、「人の願い」という誰にとっても寄り添えるものになっているから、そしてその描写が非常に優れているからだと思います。
事情が明らかになる度に、そして揺れ動くそれぞれの心情を見る度に、時に切なく、時に温かく、まるで直…続きを読む - ★★★ Excellent!!!黄昏庭園、その先へ……
颯太は兄が働く「オモイデ屋」に向かい、その途中で不思議な青年とすれ違う。
彼はなんと愛読書「黄昏の慟哭」の作者ダークティアラだった……。
個人的に大好きな「黄昏庭園」の物語です。大ファンです。
夢と現実が交差する中で、柔らかく優しい部分と厳しく暗い内容が入り混じり、読者をすっと世界へ誘ってくれます。
作者様の描写はソフトでありながらキレもあり、他の人には決して表現できないような独特の技術があるのだと思います。
センスある言葉使い、適度に場を和ませてくれる可愛らしい動物たち。
脳裏にパステルカラーが広がる……そんな物語。
どんな形で終着するのか最後まで楽しみです! - ★★★ Excellent!!!言葉一つひとつに思いがこめられ、心の深い部分に訴えかけてくる物語
作者様の世界観に引きこまれてしまいます。
繊細で儚げで、救いを求める登場人物たち。
読者としても、救いの手を差し伸べてあげたくなるような気持ちになります。
しかし、読み進めていくうちに、優しい心に触れて、いつしか読者の方が救われているのです。
今作もそんな展開になっていくのではないでしょうか。
作中には謎が多く散りばめられ、ミステリーの要素もあります。
また、恋愛感情を抱く人物もいて、恋の行方にも注目です。
言葉選びや見せ方にも工夫があって、一つひとつの言葉をとても大切にされている様子が伝わってきます。
心の深い部分に訴えかけてくる作品ではないでしょうか。
おすすめです。