第40話 ルチア

「あっあいくる椎名従者先輩。あまり揶揄わないでください……。」


 ルチアから見て、あいくる椎名は先輩みたい。それって、何の先輩なんだ? 俺は聞いてみた。


「正奴隷でしょ、正奴隷。勇者くんさっきから言って欲しいだけでしょう」


 全てを見透かしていたカホウが言った。俺は、それを素直に認めてしまったがため、あいくる椎名とルチアから1発ずつお見舞いされた。覚えていろ! 今度は俺の方が1発……いや、今は辞めておこう……。


 俺はルチアを抱き寄せ、ルチアが俺を抱き返した。3つの戒律を言い渡せば、晴れてルチアは俺の正奴隷!


「俺のせいどれいになること」

「承知!」

「しかと見届けたぞ!」


 よしっ、成功! 次だっ!


「俺のせいどれいにもなること」

「できるかーっ!」

「無効ーっ!」


 残念。おまけの1発まで食らった。


「俺のせい奴隷にならないと、多田野や江口さんの攻略対象になるんだぞ」

「そんなぁ……。分かったわ。副奴隷じゃ将来不安だしね」


 ルチアが安定志向でよかった。てか、勇者って安定職なのかなぁ。


「じゃあ、改めて!」


 俺はルチアを抱き寄せ、ルチアが俺を抱き返す。俺は、2つ目と3つ目を続けて言った。


「俺のせいどれいにもなること」

「承知!」

「しかと見届けたぞ!」


「自分のために生きること!」

「承知!」

「しかと見届けたぞ!」


 こうして、ルチアが亡国の正奴隷女王となった。

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俺が異世界転移するまでの一部始終と、その後のちょっとした活躍 世界三大〇〇 @yuutakunn0031

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