ある読者は心に痛みを覚えるかもしれない。しかし、それは間違いだ。

 あか、しろ、きいろ……綺麗に折りたたまれた紙風船。
 それをゆっくり開いて、銀紙に口を付ける。
 ふうっと息を吹き込んだら、いい感じに膨らんだ。

 冒頭1行までに何が行われたのか、これはすなわちそういうことで、それはつまり読者たる我々こそが山本なのである。
 さあ、想像してみよう。お尻の穴に息を吹き込む自分を。

 山本(=我々)は空気の量を間違えてしまったために、彼女の菊は破裂した。
 しかし悲しむことではないだろう。彼女は万年フローラルな香り漂わせる稀有な体質を手に入れたのだから。

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