心の距離感を絶妙に描く、ヒューマンドラマ&ガールズラブストーリー!

もしも好きになった人が、自分の親友だったら……
そんなモノローグから始まるストーリー。
これが、ただの甘いだけのイチャイチャ系ガールズラブなら、すんなりとその感情を受け入れられてしまうのだろうけれど、この作品はその感情の否定で始まります。

主人公の優は親友の理絵のことが同性であるにもかかわらず、恋愛対象として好きになってしまう。
ところが、優はかつて、同性からの告白に困惑し、その感情が理解できず、間違っていることだと思ってしまい、それどころか、その相手が自分を静的な目で見ていたことに、嫌悪感さえ抱いてしまっていた。

だからこそ、優は自分の感情に苦悩し、葛藤しながら、それでも理絵との関係を「親友」として大切にしていきます。
こうした相手との距離感をテーマに描こうとすると、どうしても重苦しくなってしまいがちなのですが、この作品は文体も描写も良い意味でテンポよく、かといって、優と理絵の心のすれ違いが絶妙で、二人の成り行きにあれよあれよという間に、最終話まで読み進めてしまいます。

同性同士の恋愛感情、異性との友情。優の内面を揺蕩う、ほろ苦い青春時代の心理を、ときに鋭く、ときにコミカルに。そして、ときに感情がおもむくままに任せた激しさで描き出すこの作品は、ガールズラブの衣をまとった、ヒューマンドラマといっても大げさではないでしょう。

甘々なラブコメやガールズラブは好きだけど、ちょっと違うテイストも試してみたい。
そんな人にはぜひおすすめします。

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