過去の記憶がない主人公は、かつて住んでいた田舎に東京から越してきた。かつての彼を知る高校の同級生は最初は様子を見守っていたが、記憶のない主人公を徐々に受け入れ始める。五人でバスに乗って帰る描写が好きです。登場人物が五人もいるのにごちゃついてなくて、映画のワンシーンのようにまとまっている。覚えている側と忘れてしまった側の溝が青春の煌きで徐々に埋まっていく様子が素敵でした。映像化してほしい作品。文字が匂い立つって本当にすごいこと。
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作者の方は視点の切り替えについて、恐らく何らかの後ろ向きな反応があり加筆修正されたようですが、私が読む限りでは、その反応は読み手側の不慣れだと想像させる上手な文章と構成の作品でした。なお、読み手側の不慣れはあくまでも一個人の推測です。
高校生になってまた生まれ育った土地に戻ってきた。ただ子供の頃の記憶がない。幼なじみはみんな自分のことを知っているのに。そのワケはある出来事があったから・・・自然豊かな土地での高校生活。女の子と会話したり一緒に下校したり。友達とは時には喧嘩っぽくなるけど素敵な仲間だ。まぶしい青春に1つのスパイス。謎と恋愛と友情が心地よいリズムになっている物語です。
このような物語を読むのは初めてなので、新鮮に感じました。顔に表れた気持ち、風景描写等、丁寧に表現されていて、ぜひ参考にさせていただきたいと思いました。1話、1話が綺麗に纏められているので、読みやすかったです。素敵な物語をありがとうございました。