ニコニコ動画からの「ニュース誘導枠」効果検証

猫目少将

「ニコ動アタック」影響の、「実際のところ」

近況ノートのほうに速報は出したのだが、幸いなことにniconicoアタックを受けてPVが激増したので、得られたデータ概要を書いてみる。作者の方の参考になれば幸いだ。


●概要

・ニコニコ動画内「スクロールニュース」部分(動画上部のニュース枠)にて、当方作品が紹介された

・作品:「異世界巨大アパートの女エルフ管理人は忙しい」

https://kakuyomu.jp/works/1177354054886651076

・リンク先:同作第一話「二一〇五七号室 ウェアウルフの飼い犬」

https://kakuyomu.jp/works/1177354054886651076/episodes/1177354054886651081

・期間:2018/9/8午前0時から48時間でリンク終了



●効果

同作第一話のPV増1万弱

第二話のPV増100

フォロー増50弱

評価(★)増 ゼロ

他作品への波及効果 ほぼなし


カクヨムで知り合った作者の方の話では、やはりニコ動アタックで第一話が3万PVになったという。当方の作品はその3割弱なので、キャッチーな引きがなかったのだろう。残念だ。


カクヨムのランキングシステムの仕組みからして、作者としてのKPIは星評価獲得になる。今回のニコ動アタックは、KPIの面だけ見るなら効果薄ってとこ。



●来訪者

第一話での離脱率99%。

グーグルアナリティクスによると、滞在時間(セッション時間)は0~10秒がほ

ぼ全部で90%ほど。次が11~30秒、次が601~1800秒。

要するにほとんどはクリックで飛んできて、即ブラバでお帰り。

きちんと第一話を読むユーザー(180秒以上滞在)は5%ほど。第二話まで進んでくれたのが1%だ。


さらにフォローしてくれるのが、0.5%。星評価が入ったのはゼロ(泣


ユーザー属性は、男が9割、25-34歳が5割。

購買意向の強い領域は、「出会い系(dating service)」が7%でトップ。次点が「教育系(英会話とかかな)」「投資や金融」。まあ30代サラリーマンって感じだよな。出会い系ってのは想像だけど風俗の嬢紹介Webとかが中心だと思う。ガチ出会い系というよりも。


ツールはpcがほとんど。スマホは基本、シングルタスクなんで、ニュースクリックはしないのかもね。メインタスクとして動画観てるわけだし。pcなら別ウィンドウで飛べるから動画観ながらのニュースクリックも気楽だけどさ。あるいはスマホ版ニコ動ではニュース掲載枠がないのかも。



●分析

当該作品「異世界巨大アパートの女エルフ管理人は忙しい」は、ポストアポカリプス状況を背景にした、謎満載の癒し系小説だ。けものフレンズとか少女終末旅行的な。


ニコ動でのリンクの文字列は――


「【カクヨム】女エルフの背中には、大きな酷い傷跡が」


――というもの。実際、第一話にそうした描写があるのは確かだ。だがそれは主人公の過去に関する伏線であって、(これまで公開した範囲では)傷跡をクローズアップしたことはない。


このキャッチは、「癒し系ほんわかノベル」という、作品のテイストとはやや乖離している。それにそもそも、題名自体、書かれていない。クリックした人は、第一話に飛ばされて初めて、小説タイトルやテイスト・内容を知るわけだ。


このあたりが、クリック即ブラバという行動に、いくばくかは関係していそうだ。ニュース掲載担当者は限られた文字数でその作品の訴求点をアピールする必要があるわけで、インパクトのある設定を抽出したということだろう。その判断は間違いではない。実際、飛んできてくれる人が激増しているわけだし。



方向を変えて考えてみる。「作品の魅力がないから云々」とか「キャッチと作品の乖離が」とかでない部分に、最大のポイントがあるのではないか。10秒以内でお帰りになる方が9割というブラバパターンから判断して、「魅力が乖離がと感じる前」、もっとこう脊髄反射的にブラバしている人が大多数という事実だ。


端的に言って、クリック先が小説サイトと思ってない人がほぼ全員ではないかと推察する。


いやつまり、リンクに【カクヨム】と書いてあっても、そもそもそれが小説投稿閲覧サイトの名前と知らないんじゃないかと。


「【カクヨム】女エルフの背中には、大きな酷い傷跡が」


――という文字列から、「あーこれ、新しいゲームのニュースかな」とか考えて、とりあえずクリック。リンク先でぱっと見、イラストも派手なバナーもないので、「なんだこれ、ゲームじゃないじゃん」と、即閉じる――。とか、こんな感じじゃないかと思うわ、実際。


だって先が小説だと知ってたら、興味を持ってクリックした以上、少なくとも1分くらいは読むんじゃないかと。最大でも10秒ってタイトル見て帰るレベルで、それならそもそもリンク踏まないじゃん。



●対応

当初、自作のグーグルアナリティクスを開きながら作業していたら、午前0時を境に急に流入が激増した。対象は「異世界アパート」のみで、第一話だけぐんぐんPVが増えている。


調べたらニコ動のスクロールニュースで紹介されていたからだった。


一瞬喜んだのだが、動きを見ていると、効果があるのは第一話のみで、第二話のPVはぴくりともしないw


一見さんがチラ見してお帰りになるだけでは虚しいので、急遽第一話に前書き後書きとして第二話や目次ページへの動線を入れ、フォローを促した。一話を覗いてみてもらえればその苦闘は見て取れるので、ご参考まで。見てくれは多少かっこ悪くなったけど、仕方ない。(そのうち戻す予定)


だが、ニコ動アタックが終了(掲載終了)した時点で振り返ってもフォローや星への影響は僅少だったので、あまり意味なかったかもしれない。10秒以内でブラバされているのでは、小手先の対応は効果薄と言えるだろう。



●提言

もしニコ動への掲載を受けたら、作者はどうすべきか。私の経験から、以下のような対応がありかとは思う。


効果を上げるには、とにかく「10秒ブラバユーザー」を引き止める必要がある。そのためには冒頭5行に、「とりあえずこの先を読みたい」と思わせる、強いシーン(特にセリフ)を置くのが有効だろう。


たとえば――

「その日、高校に進学した私は、帰宅するまでに3人の人を殺した」

とか、

「目を覚ますと、敵オークの投げた槍が、俺の腹をぶち抜いたところだった」

教師「君達生徒には、卒業試験として、これから殺し合ってもらいます」

とかさ。死とかエロとかの、とにかく鮮烈なイメージ。


多少無理やりだったり整合性に問題が出ても、頭を書き足しておくべきだ。どうせアタックは数日も続かない。あとで消すか直せばいい。無料公開のWeb小説なんだから、そのくらいの融通は問題にならないだろう。私はそこまで思いつかなかったわけだけどさ。



●感想

結果としてせっかくのニコ動アタックも、評価にはつながらなかった。残念。でも考えてみると、一話のみとはいえ、多数に見てもらえてよかった。普段あんまりビュー取れないしさあ、当方の作品。その状態よりは、はるかにマシじゃん。ピックアップしてくれた担当の方に大感謝だな。



●おまけというかオチというか

ニコ動アタック確変終了後、一話追加投稿してみた。前後でどう見られ方が変わるか興味あったので、普段に似合わず、週末に急いで書いて。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054886651076/episodes/1177354054886947219


こいつをニコ動アタック終了後18時間程度で公開したが、最新話のビューの立ち方は、ニコ動アタック前とほぼ同じだったよチックショーw(コウメ太夫が憑依) 一夜の夢であったか……。

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ニコニコ動画からの「ニュース誘導枠」効果検証 猫目少将 @nekodetty

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