人から人へ。繋がる願いの物語。

こちらは随分前に読了した作品なのですが、私の中で感想をそのままにしたくて、ずっとレビューを書けずにいた作品でした。
瓦礫の街の少年、ナギから始まる物語は、過去と現在と未来が巧妙に絡み合い、独立したそれぞれのお話かと思いきや「あれ?もしや……」という伏線が気持ち良い程に明かされていく物語でもあります。
それぞれの物語の登場人物が本当に魅力的でどうか、と祈りのような感情を抱いてしまうだけに先に進む程にドキドキしてしまうのですが、人の感情の動きの巧みさ故に読み進める手が本当に止まらないのです。
一見して無関係のように見えて……と思える物語は作者様がかなり物語を練りに練られたのだろうな、とただ壮大な物語に圧倒されるばかりでした。
透明で、鮮やかで、胸が締め付けられる程、美しい願いの物語でした。
この物語はふとした時に読み返したくなります。そうして彼らの選択を、その土地の営みを見つめながら、色々と考えずにはいられないのです。
素敵な物語に出会えて良かった、と思う作品でした。
個人的にはルリさんがとても好きです……。
きっとまた、何かの折に読み返す物語の一つです。

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