駒井の力。

ザクッザクッ、


と、駒井の体を何本もの凶器が貫いた。


「……やはり」



しかし、自らが持つ剣の先を見た男カインが、忌々しそうに舌打ちする。


「隊長!?これは一体……」


同じ場所に武器を突き立てた他の隊員たちにもあきらかな動揺が見られる。


「あ〜あ」


いくつもの武器に貫かれている駒井は、無感情にため息をつく。


「手応えが、まるで無い!?」


「こいつ、なんなんだ?」


口々に駒井を突き刺した感想を述べていく隊員たち。


「いきなり刺してきて失礼な奴らだな〜」


顔が見えたらこめかみに怒りマークが出てそうなトーンの声で自分の体をみる。


「お前、所属はないと言ったな?」


何かを確信した様子の男が、静かに駒井に問いかける。


「ああ、だからさっきからそう言ってるだろ?」



何気なく答える駒井。


「ならなんだ?見逃してくれるのか?今正直早く帰ってこいつを直してやりたいんだが?」



自転車を掲げて、ため息混じりに言う駒井。


「こいつ!!なめてるのか!!」


隊員の一人が、自分達を馬鹿にされたと思ったようで、怒りに身を任せて駒井から武器を引き抜き、再度振りかざす。


が、その手を男ががっしりと掴んで止めに入る。


「隊長!?どうして?」


困惑する武器を振りかざした男。


他の隊員達も同じ目で男を見る。


「無駄だ。やめとけ、最初の攻撃が無意味だったんだ。今の俺たちにできることは何もない。」


カインは首を横に振る。


「しかし!!」

納得いかない様子の隊員。


「いいか?我々は黄金の王から直接力を貸していただいている。言わば王の分身だ。その我らの攻撃が届かないと言うことは、奴は」




「本物の『王』!!偽物でも分身でもなく、同じ王でしか奴にはダメージを与えられない」


どこからか、うるさいくらいにうるさい男の声が響いた。


「この声は‼︎」


カイン達清掃員達は声の主に心当たりがあるようで、激しく動揺している。


「ハーッハッハッハァ‼︎」


ピーヒュルルル……


謎の高笑いと共にまるで打ち上げ花火が打ち上がった音が、辺りにかすかに反響し始めた。


だが、打ち上げ花火と違い、その音は秒を追うごとに大きくはっきりと聞こえ始める。


そして全員がその音のする方を感じ、見る。


「ハーッハッハッハァ‼︎」


その方向は真上、何もないはずの空だった。


そこにまるで昼間の太陽のような、眩い光を放つ何かがもうスピードで駒井達目掛けて飛んできていた。


「ハーッハッハッハァ‼︎」



ズドン‼︎


と、

気味の悪い謎の高笑いを発する光はスピードもそのままに地面に着弾した。


「ハーッハッハッゲホッゲホッ、さすがにけむいな……」



ガラガラと、衝撃で吹き飛んだ石を肩やら頭に食いながら、土煙漂うクレーターの中から一人の男が姿を現した。


「あなたは‼︎」


目を輝かせるカイン達。


「怖い怖いキモいキモい無理無理……」


おぞましいものでも見るようにガタガタ全身震える駒井。

「そう‼︎私だ‼︎久しぶりだな息子達よ‼︎」


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私まだ使えます‼︎頑張りますから‼︎だからどうか、捨てないでください。 ベームズ @kanntory

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