神の座を巡る戦いの火蓋が、今、切って落とされる!

 既視感があったのは、序章だけだった。どこまで知識を蓄え、構成を考えれば、こんなに鮮やかに人間関係や、人間と悪魔の関係を操ることができるのか。そしてここまで複雑な物を書きながらも、破綻しない作者様の技量に驚かされる。 
 設定は既存のモノに似ている。13人の選ばれた人間が、魔導書によって契約した13の悪魔と、神の座を巡って戦う。ここで特記すべきは、契約した段階で人間の1つの願いは叶えてもらえるということだ。さらに、悪魔との契約は3段階まで強化することができ、これによって人間は特殊能力を強化できる。
 ここまで書けばお分かりの通り、戦いのメインは、悪魔と契約した人間の方である。そこに、契約した悪魔の階位が関係して、戦闘時にこれらが絡まり合って展開される。さらに、契約者同士が同盟を結んだり、同じ家の者だったり、同じ学校の生徒だったり、と人間関係もこの物語の面白さの肝となっている。
 あまり神の座に興味がなかった人間たちが、話の展開に合わせて神の座に至ろうとする様も、無理なく書ききっている。特に、「ゲームマスター」的な少女(現在の神)が、人間たちを集めたり、情報を与えたり、イレギュラーの人間を参加させたりする上、意味深な発言も多い。
 異能力バトル好きな方はもちろん、頭脳戦が好きな方にもお勧めしたい作品。
 さて、これから彼らはどうなっていくのか?
 物語はどう展開されるのか?

 是非、ご一読ください!

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