看護師ミツルの事件簿〜記念病院の内臓〜

分娩室に突如現れた血だらけの胎盤。
病院内の妊婦さんは、まだ誰も出産していない。
この胎盤は誰のものなのか、一体どうしてここに現れたのか。

次々と内臓が現れる血生臭い事件だが、謎を解き明かした先に現れる真相、そしてそれを支える結末に、きっとあなたの明日は輝く。
ヘビースモーカー美少女看護師さんなど、生き生きとした魅力的なキャラクターと、重厚な医療知識に満ちた素敵ミステリーです。

心臓が弱いので、ちょっと拝読して「雲行きがどうも、嵐がくるようだ」と思ったら、作品に寄せられたレビューを拝見いたします。
うんうん、サクサク、軽妙ね。
……。
そんな。
スナック感覚でサクサク食い荒らされたら、残るものはないじゃないか、と思うのですよ。
後進にパクパク食べられておしまいです。
でも拝読したら違った。
作者さんが何を思い、何に怒ったか。そのやさしさと思いやり。
魂の根源ともいえるテーマはそうそう盗めない。
きっとそれは普遍的であるからこそ――。
結局事件の最初から最後まで、内臓をぶちまける話ですが、生臭くありません。
ご安心して、スリルをお楽しみください。
怖いよー！！！　でも…続きを読む

　病院で起きた不思議な事件。もしかして、猟奇殺人？

　この謎に挑む、素人探偵の看護師ミツル。
　ちょっとライトな推理物です。もしかしたら、事件は大事件じゃなかったり、トリックも壮大なものではないかもしれないけど、作者の語り口が巧妙で、謎解きと犯人捜しの楽しさを堪能できます。
　巧妙に配されたキャラクターと、軽快で読みやすい文体。謎解きも、ややこしくなくて、こういうの、ぼくは好きです。

事件に必要なのは動機だ。動機こそが犯人を輝かせ、事件を際立たせる。
動機のない事件は事故のようなもので、物語にならない。
事件の奥にある事件。動機に至る事件こそが元凶だ。
それは大抵の場合、個人の悪意なき悪事によるのである。
主人公は、事件を解決できるだろうか。