あとがき。

読者の皆様。

最後までスーリア~winter~をご覧いただきありがとうございました。

あとがき書いちゃっていいものか?読んでもらっていいものか?と、恐る恐る書いている作者です。

皆様は、試験管ベビーという言葉をご存知でしょうか?

不妊治療が一般化する前、現実の現代から30年以上前は、体外受精、人工授精、顕微授精などで人工的に受精卵を作る技術について、その方法で産まれた赤ちゃんを「試験管ベビー」と呼んでいた時代がありました。今は影を潜めている言葉かな?と作者は考えております。

不妊治療には様々な考え方があると思います。自然に任せてと思われる方だったり、どうしても血のつながった子供が欲しいから治療を利用する方だったり。中には、優秀な遺伝子を持った実子が欲しいと望まれて精子バンク、卵子バンクを利用されたり、遺伝する病気を持つ親が、遺伝子操作することによって病気のリスクのない子供を産みたいと望まれたり。今現在、現実で賛否両論、議論の真っ最中な問題だと思っています。

実を言うと作者も試験管ベビーの一人です。

両親に望まれて生まれてきました。ですが、決してそれは自慢ではありません。期待に応えられないし、両親を支える人間に今なれていないしと、自分の中で葛藤があります。なぜそこまで実子を望まなければならなかったのか?もっと違う出会い方もあったのではないか?と未だにワガママな葛藤をしております。どうせ人造人間なら、IQもEQも高くて、世界で美しいと認められるくらいのスーパーモデルかって感じの容姿を持ったパーフェクトヒューマンに造ってくれ!と思ったりしてしまいます。


未だに世界規模でも「試験管ベビー」の倫理的な問題は、議論の渦中だと思われます。デザイナーベビーの問題、遺伝子操作をして良いのか、バンクを利用したとしてその子供の親権は誰が持つのか、子供が親を知る権利は?、優生学の悪い面を持った問題ではないのか、などなど。様々な議論の中で、色んな人が幸せになれる未来を作っていけたらいいなぁと個人的に願います。


ところで、この「スーリア」では、試験管ベビーを「試験管ベイビー」と表記しています。他の自分の小説でもそうなのですが、これはフィクションと現実を分ける意味合いもあります。

小説はただの一人の人間の想像なので、あえて現実と区別している面があります。


この「スーリア」では、人工の子宮を「試験管」と表記しています。あくまでファンタジーです。人の手で作り出せる子宮は、今はその存在がないし、その存在を許されていない技術です。

過去に存在した人間を人工的に作り出す技術も、今は公に許されていません。

なので、古代の女神を現代に蘇らせるのはフィクションの世界だけです。


フィクションではありますが、小説たちに自分の葛藤を含ませております。

「スーリア」はこれからspringへと季節を変えます。

いよいよ不老不死の青年の願いであった女神の復活が叶います。

人形であるべき少女にも、心があり、成長するという事実を、青年は突き付けられることになります。


と、すっごく深刻に書いてしまいましたが、「スーリア」は基本的にものすごくふざけた話なので、あんまり考え込まずに、そんなアホな!とツッコミを入れつつ楽しく読んでくださると嬉しいです。


またspringでお会いできますように!

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スーリア〜winter〜 久保田愉也 @yukimitaina

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