「センチ」ではなく「インチ」である理由

 計る対象によって、使われる単位は異なる。この作品で語られるのは、まさに「インチ」で表記されるべき世界。

 いまどきの高校生、彼らが親しむいまどきのツール、いまどきの人間関係。そして、いまどきの危うさ。
 そのすべてが、見事なミステリータッチで組み上げられ、限られた文字数の中に無限の広がりを見せています。作中のアプリの謳い文句から読み手が抱く予想をいともあっさり裏切り、それでいて納得のいく爽快な結末に着地させるストーリー運びに感嘆いたしました。絶妙な「トリック」に完全にしてやられた気分です。

その他のおすすめレビュー

弦巻耀さんの他のおすすめレビュー204