陰陽師×イケメン×バディ×バトル! ワクワク要素がぎゅっと詰まった物語

 「陰陽師モノ」というと、おどろおどろしい怨霊とのバトルシーンの連続、というイメージを抱きますが、この物語は「電柱を凝視していたら、ナンパされた」という軟派な一文で始まります。ナンパされたのはバトルシーンとは全く無縁そうな元OLの真瑠璃さん(しかも失職して金欠中)。ナンパしたのは王子オーラ全開のイケメン。
 甘いラブコメ? ……と思いつつ読み始めましたが、かつて安倍晴明サマにハマった黒歴史を持つ私は、第二話「二人の王子の裏の顔」でつぴーんと来ました。この作品、「陰陽師モノ」としてかなり設定に凝っている!

 二人のイケメン陰陽師と出会った真瑠璃さんは、さまざまな怨霊と対峙し、成長していくのですが、想像以上に緻密な設定と見事な構成で描かれていくその物語は、予想のはるか上を行くガチぶりでした。怨霊とのバトルシーンはもちろん、怨霊の出現の仕方や怨霊と人間社会の関係などなど、かなり深い話が展開されています。怨霊の皆さんも実に豪華なラインナップ!
 その一方で、この作家さまの持ち味であるキャラクター同士の絡みは、予想を裏切らず本当に魅力的です。ラブコメ的なちょっぴり甘い場面も、バディとしての信頼関係も、イケメン陰陽師の悲しい過去に苦悶する心情も、実に自然に描かれながら物語をけん引する役割を果たし、読み手を否応なく作品世界へと惹きこんでしまいます。

 陰陽師ネタとラブコメ要素を見事に融合させた最高のエンターテイメント作品です。

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