考え続けるしかない。くつがえり、またくつがえるものを。

その場所はこの上なく快適だった。そこで育つ者は何不自由なく暮らすことができ、いつまでも若々しくいることができる。

ただ一つ他の人間達と違っていたのは、彼らが「臓器を提供するためだけに作られた」ということだけだった。

彼らの管理者であるホムラとともに、読者もこの世界に対する葛藤に巻き込まれていきます。気持ちに陰をさしそうになるとき、束の間の安らぎをくれるのがいつも「彼ら」であることに、さらに心が締め付けられるのです。

葛藤に次ぐ葛藤。
思考の上のさらなる思考。
倫理も道徳も価値観も哲学も、全部壊して作り直す。

頭をかち割られるほどのインパクトが、癖にならずにはいられません。

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