小さな箱庭で紡がれる思考は正しいのか? そもそも正しいとは何なのか?

 主人公はヒュムという存在意義、自身の存在意義に悩みながら日々を過ごしている。閉ざされた空間で、何が幸せなのか、そもそも幸せに自分はなっていいのか――様々なことを考えながら、講義を続ける。
 いずれは『昇華』してしまう、彼らに――

 SFの真骨頂ともいえる独特の世界観に一気に引き込まれました。登場人物も一癖二癖あり、序盤と終盤で印象が変わるキャラもいます。そのキャラたちが小説をここぞとばかりに盛り上げてくれています。

 更にこの小説の最大の特徴であり、特長であるのが「ルビ」です
 ルビの振り方が本当に面白く、ついつい口に出したくなってしまいます。それでいてすんなりと頭に話が入ってきて、主人公の悩みや葛藤についてこちらも同調してしまうこともしばしばありました。

 そして私が大好きなのは、どんでん返し。この小説にも予想外のどんでん返しがあり、思わずリアルで嘆息してしまいました。

 ぜひとも読んでほしい作品です。

 とても面白かったです

その他のおすすめレビュー

狼狽 騒さんの他のおすすめレビュー265