旅する頼子さん。

余韻がすてきな物語。
いつか頼子さんが生まれ変わる日が来たらと願わざるを得ない物語でした。

物語の舞台となるのは片田舎の小さな学校。
主人公の少年ジュンはその学校に運び込まれてきたピアノに取り付いている幽霊、頼子さんを目撃することから物語が始まります。

人間の少年と幽霊となった美女。
ちょっとミステリアスな関係に絡むのは現実という頼子さんにとっての壁。
そして、なぜ頼子さんがピアノに取り付くことになったのか、物語が進むに連れて解き明かされていく謎。
15,000文字足らずの物語にぎゅっと凝縮された展開は良い意味で王道で、ワクワクしながらもすらりと読み進められ、結末を迎えたときにはホロリと胸に染みる爽やかな読後感。

短編としてとても完成された良い作品です。

古びたピアノの鍵盤、ドからシの間に住み着いた幽霊の頼子さん。そして、頼子さんのことが見える純朴な少年ジュン。二人が出会い、仲を深めていくも……。変則的でありながら王道にも思える恋愛小説です。

恋愛小説でありながら、ところどころに散りばめられた伏線にスクロールする手が止まりませんでした。普段恋愛小説を読まない私でも楽しめたので、多くの人にウケる万人向けの作品だと思います。

二人の出会いにはほっこりしつつ、クライマックスにはハラハラしたりして。短編とは思えない読後感。おススメです。

タイトルに惹かれ、お邪魔しました。

ピアノに憑いた幽霊・頼子さんが、たどり着いた北国の学校で出会ったのは少年・ジュン。
ふたりのほっこりとしたやりとりに癒されます。
しかし、ジュンの様子の変化から、頼子さんに秘められた謎が明らかになるクライマックスにはハラハラさせられました。
日常から非日常への引き込みかたがとても上手です。
今後のふたりがどうなるかが楽しみであり、せつなくもあります。

今日もどこかで頼子のピアノが鳴っている……かも。