「サーカス リクエスト ハロウィン」

 ようこそいらっしゃい。

 此処はサアカス、悪い子も良い子もみんな寄っといで。


「せっかくハロウィンなんだから、何かしたいよね」

「はいお前言い出しっぺの法則な。お前だけがやれよ」

「なぬ」

「だっていつも通りじゃん? なんかしたいよね?」

「疑問系にすれば許されると思ってんじゃないよ。大体、ハロウィンっていうのは向こうのお彼岸なんだからさ。それをお祭り騒ぎにしたてて一大コスプレ祭りに変換したのはジャパニーズのせいだろ」

「誰もコスプレするとは言ってないだろ」

「うるさいジャパニーズ」

「お前もなジャパニーズ」

「……………不毛だな」

「不毛だ」

「とにかく、普通でいくぞ普通で」

「えー。面白味はー?」

「ないっつーの。俺らはいつも通りを繰り返すだけだろ? それ以外のやりようもないしな」

「でもぉ、せっかくだしぃ」

「やかましい。とっとと行くぞ」

「えー。ねっねっ、じゃあお菓子集めやろ?トリックオアトリート!」


 さあさあ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい。

 サアカスだよ。

 良い子悪い子普通の子、どんな子だって大歓迎。


 ふよふよ背中の黒い羽をはためかせ、人の形をした異形のものは、街に繰り出した。

 一人は大きなバスケットを持って、一人は大きな鎌を持って。


 たった二人のサアカスは、今日も今日とて街を行く。

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