恋滝参り

　清龍滝の辺には、暗くて深い淵があった。滝壺から来る複雑な水の流れが、淵に落ちた者を水底へ飲み込む。そう言い伝えられる通りに、其所から水死体が上がる事は滅多にない。其故、またの名を死人ヶ淵とも呼ばれていた。
　そんな淵の傍で拾われた経緯を持つ倉渕燎は、町の中で『竜神の仔』『死人の子』と揶揄されながら、孤独感の中で育ってきた。その彼の声を滝の傍で耳にした神社の三男坊、相坂清己は、声に魅せられ惹かれていく。
　同じ高校に通っている事を知った二人は、人目を避けながらも交流を重ねて、やがて恋に落ちていった。
　だが。
　道ならぬ恋の果てに起こした心中騒動。そして死者と生者に分かれた二人。
【注意・ここまで前話で、本作品ではありません。】

　その小説後の清己の人生を、心情交えて綴ってみました。
　悔…続きを読む