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  •  拝読いたしました。
     実は、この作品を読んだ後、作中に登場する『温度』や『音』へのこだわりがあまりに印象的だったため、実際の手作りチョコレートにおける「テンパリング(温度調整)」について少し調べてみました。
     そして今、その事実を知った上で改めて作品を読み返し、鳥肌が立つほどの感銘を受けています。
     最初は、王の厳格な性格や哲学を表現するための美しい比喩だと思って読んでいました。しかし、チョコレート作りにおける『温度』と『音』の重要性を知った今、この物語は単なるファンタジーではなく、極めて写実的な職人のドキュメンタリーなのだと気づかされました。
    「急いだ甘さは、崩れやすい」
     王のこの言葉が、単なる精神論ではないことに驚きました。
     調べたところ、テンパリングは「溶かす・冷やす・温める(固めるじゃないことにビックリ!)」という工程を経て、カカオバターの結晶を安定させなければならないのですね。急激な冷却や不適切な温度管理で固めたチョコは、結晶構造が崩れ、実際に口溶けが悪かったり、すぐに溶けたりしてしまう。
     ラストシーンの「――カン」という音。
     最初に読んだときは、単に静寂を破る美しい音だと感じていましたが、今はこれが『成功の証』であることが痛いほど分かります。
     テンパリングに成功したチョコレートだけが、「パキッ」という音を奏でる。つまり、あの瞬間、王はただチョコを割ったのではなく、自分の仕事が完璧であったことを、証明して見せたのですね。
     臣下たちが「きれいな音」「陛下の音」と喜ぶ姿も、それが単なる情緒ではなく、「品質保証」への安堵だったのだと思うと、彼らの緊張感がよりリアルに伝わってきました。
     数度単位のズレで全てが台無しになる(最後の温めるで34℃を超えたらやり直し)というシビアな条件を知ると、王が呟いた「怖い」という言葉がより切実に響きます。
     「温度は生き物」というセリフは、常に変化し続ける結晶化のプロセスそのものですね。あの静寂は、王の威厳であると同時に、ミクロの世界で起きている化学変化に対する、極限の集中力だったのだと理解しました。
     事実を知ることで、寓話の魔法が解けるどころか、むしろ「フィクションの中に隠された確かな真実」に触れ、作品の深みにはまり込んでしまいました。
     美しい物語の中に、チョコレート作りという科学への深い敬意と理解が込められていることに感動しました。

    作者からの返信

    読んでいただけるだけでなく、作品からテンパリングのことまで調べていただき、その上で改めて作品に触れてくださったこと、まずは驚きとそして感謝でいっぱいです。
    じわ〜と心が温まるコメント、そしてレビューまで書いていただき、本当にありがとうございます。
    時期的にチョコレートのお話を執筆してみましたが、『甘いお菓子を好きな人に贈る🍫❤️』という、かわいいお話にはなりませんでした笑

    過去に書いた「いちごショート王の激務」のスピンオフとして書いてみようと思い立ち、白の国との対比で、闇の王のような黒のイメージでチョコレート王を描きました。
    
・いちごショート王がお忍びでチョコレートを食べに来る
    ・チョコレート王との友情
    などのかわいらしいプロットもあったのですが、いざ描き始めてみると思いもよらずに、まるで“杜氏”のような静謐な世界観に引き寄せられていきました。
    kouさんが調べてくださったように、まさにテンパリングの様子を描いたので、その工程をなぞりながら読んでいただけたことは本望です!
    本来は温度計と睨めっこしながらのテンパリングですが、そこは偉大なるCacao Majesté王なので笑 温度計には頼らずに「温度との対話」という形にしました。
    「ミクロの世界で起きている化学変化」というkouさんの感想の一文を目にして、わたしはそういう世界を描くのが好きなんだな、と改めて気づきを得ました。(過去にアスペルギルス・オリゼのことを書いたことがありまして)
    コメントやレビューをいただけることは大変にありがたいことです。その上、作品や自分の言葉の嗜好を、こうやって再認識させていただけるなんて、改めて、言葉をいただけることへの感謝の念がとめどなく湧いてきます。
    久しぶりに物語を綴ることができました。自分としてはぎこちない動きのままですが、今回のコメントとレビューの言葉に、励ましをいただいた思いです。
この度は本当に、本当にありがとうございました。