銀縁眼鏡の律と、ワニの怪異の少年・累。
二人は現代を舞台に、「定義」と「論理」を武器に社会の歪みを解きほぐしていく。
「解術師」を営む彼らのもとには、パラドックスに縛られた依頼者たちが訪れる。
鏡の中の少女、時間に囚われた老人、嘘に支配された街――。
それらを“言葉”によって解き崩していく展開は、痛快でありながらどこか残酷で、読者に強い問いを突きつけてくる。
常識を覆す展開の連続に、先が読めない面白さがありつつ、物語が進むほどに明かされていく律の正体が、作品に深い陰影を与えている。
冷静で理知的な彼の内側にあるものを知ったとき、きっと感情を揺さぶられるはずだ。
――もしかすると、私たち自身もまた、
気づかぬうちに“解けないパラドックス”の中で生きているのかもしれない。
読み始めた瞬間、まず雨の神社と崩れかけた怪異という不穏な導入に一気に引き込まれました。論理学のパラドックスを「呪い」や「能力」として物語に落とし込む発想がとても斬新で、知的なワクワクが止まりませんでした。
特に律が「定義」や「論理」で相手を縛り、状況そのものを書き換えてしまう展開は、頭脳戦としての快感がすごいです。
救っているようで容赦なく支配する律のキャラクターも魅力的で、冷酷さと日常の優しさのギャップが印象に残りました。
さらに累との掛け合いがテンポよく、重いテーマの中でも物語に軽快さとユーモアを与えていて読み進める手が止まりません。
嘘や記憶、鏡など「人間の認識の矛盾」を怪異として描く構造も見事で、読み終えるたびに「なるほど」と唸らされます。
論理パズルを解くような快感と、人間の弱さを突きつけるドラマが同時に味わえる構成に感動しました。
知性と怪異が交差する世界観がとても魅力的で、次はどんなパラドックスが事件になるのかと想像が止まりません!