鉄と蒸気が支配する街で探偵とぽんこつ助手は出会う。その正体が明かされる瞬間、物語は一気に血と銀の神話へと変わっていく。硬質なスチームパンク描写と、吸血鬼ロマンが噛み合う短編でした。
蒸気と煤に覆われた都市描写が非常に濃密で、冒頭から世界に引きずり込まれる感覚がありました。科学で神秘を撃ち抜く探偵と、時代から取り残された少女の組み合わせが、物語に鮮烈な対比を生んでいます。助手としての不器用さと、圧倒的な「正体」との落差が強く印象に残り、登場人物から目が離せません。吸血鬼という存在を単なる敵ではなく、歴史と孤独の象徴として描いている点が物語に深みを与えています。事件解決よりも「続きを見届けたい」と思わせる締めが秀逸でした。