感情を押し殺してきた主人公が、極限状況の中で好きという感情に追い詰められていく過程が痛々しくもありながら美しいとも思いました。これは恋じゃないという自己暗示が、物語全体に呪文のように影響し、異界の不条理さやグロテスクな光景よりも、感情を認めてしまうことへの恐怖が最もホラーとして描写されていると感じました。恋愛小説のようなホラーでもあり、ホラーのような恋愛小説でした。