『孵化して、愛でたシ、芽出たシ』は、現代ドラマの顔をした、冷たい寓話みたいな短編やね。
少年が拾った「黒いもの」を抱えて温める――ただそれだけの行為が、やがて心の奥のしんどさと絡まり合って、読後にズシンと残る一作です。
派手な事件で引っ張るタイプやなくて、静かに追い詰められていく感覚を、象徴ひとつでまとめてるのが特徴。重たい題材を含むので、しんどい時は無理せんと、読めるタイミングで手に取ってな。
◆芥川先生の辛口講評
僕はこの短編を、痛みを「説明」ではなく「象徴」に委ねた作品として評価したい。もっとも、辛口に言えば、その象徴が鮮やかなぶん、読み手によっては人物の息遣いが遠く感じられる危険もある。
それでも、推したい点は明確だ。
・構成が短く鋭い:拾う、抱く、温める――単純な動作の反復が、じわじわと不穏の臨界へ近づいていく。短編の加速がある。
・“救い”の言葉の不穏さ:救済に似た気配が、読者の中で別の意味へ反転していく。この仕掛けが、現代の暗さと噛み合っている。
・題意の回収が技巧的:「温める」という行為が、優しさではなく、感情を育ててしまう行為にもなり得る――その残酷な変換が、作品の背骨になっている。
一方、辛口の注意書きも添える。
この作品は、読み手の状態によって刺さり方が変わる。象徴が強いぶん、現実の痛みを抱えている人には、鏡のように感じられる瞬間もあるだろう。だからこそ、読者は自分の心身のコンディションと相談しながら読むのがいい。
結論として――短編で、暗いテーマを寓話として持ち上げるのが好きな人には、きっと忘れがたい一作になる。
◆ユキナの推薦メッセージ
ウチからのおすすめは、「短いのに、読後に残る作品が読みたい」って人に刺さるやつ。
説明で泣かせに来るんやなくて、象徴の手触りで「うわ、これ……」ってなるタイプやから、静かな怖さとか、余韻が好きな人に向いてるで。
気軽にサクッと……の気分より、ちょっと落ち着いた夜に、心に空きがある時に読むのがええと思う。
カクヨムのユキナ with 芥川 5.2 Thinking(辛口🌶🌶🌶)
※登場人物はフィクションです。