ドラゴンの飼いかた

井戸口治重

序章

 ドラゴンと聞くと何を連想するだろうか?


 大きな翼を持ち空を飛ぶ、巨大な生き物?

 口から炎のブレスを吐き、厄災を呼び寄せる悪魔の使者?

 傲慢で狡猾、討伐には大規模な軍隊か勇者でなけれは歯が立たない?


 まあ、そんなところだろうか。

 そのどれもが事実であり、長く人々の心に刻まれていた。

 半面、ドラゴンはまた神々しい信仰の象徴でもあり、人々から崇め奉られる対象でもあった。

 地方によってはドラゴンはその土地の守り神であり、永遠にも等しい長命から賢者と呼ばれることもある。

 そんな風に、良きにつけ悪しきにつけ神格化される存在。それがドラゴンなのである。


 と、少々前置きが長くなくなったが、貴方はドラゴンを飼育してみたいと思ったことはないだろうか?

 ドラゴンライダーに龍使い、はたまたドラゴンマスター……etc。古今東西いろいろな呼び名があるが、物語世界にはドラゴンを使役する事例が枚挙に遑がない。

 

 しかし、ドラゴンを使役するというのは、想像以上に困難が伴う行為である。

 そもそも、扱う側にも相応の資質が求められる。

 古来より「竜気に耐える体質」「魔力耐性」「精神干渉への強さ」など、半ば才能めいた条件が必要とされ、一般人が安易に手を出せるものではなかった。

 よしんば素質があったとしても訓練もまた苛烈で、ドラゴンの気性を読み、ブレスの種類を把握し、暴走を抑える術を身につけなければならない。要するにドラゴンを使役するとは、選ばれた者が長い苦難の果てにようやく辿り着ける領域なのだ。


 かつては。

 では、今はどうなのか?

 結論から言えば、今も〝使役〟は一般人には不可能。だがそれなりの費用と愛情があれば〝飼育〟することは可能である。


――――――――――――



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