第2話:条件

アプリが開く。


 ロード表示は出ない。

 一瞬で、トーク画面になる。


 上部のヘッダー。


 ・戻る

 ・空白

 ・通話アイコン(グレーアウト)


 相手の名前はない。


 アイコンも、

 初期設定の丸いシルエット。


 吹き出しが一つだけ表示されている。


ここまで、

指示どおりに操作してくれてありがとう。


 既読はつかない。


 遥は、息を止めた。


「……誰」


 入力欄を見る。


 ――入力できない。


 キーボードが表示されない。


 代わりに、

 入力欄の上に小さな文字。


 「相手が入力中です…」


「……」


 画面を閉じようと、

 下からスワイプする。


 戻らない。


 ホームにも行けない。


 電源ボタンを押す。


 画面は暗くなる。


 だが一秒後、

 自動点灯。


 同じ画面に戻る。


この画面を閉じようとした回数:1


 遥の背中に、

 冷たい汗が流れた。


「……やめて」


安心してください。

まだ条件は満たしていません。


 文字が、

 一行ずつ表示される。


通知を消さない

ここまで読む


 そこで、止まる。


 冷蔵庫の稼働音。

 エアコンの送風。


 すべて、

 「通常どおり」なのに異様だった。

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