中古にまつわる怖い話と奇妙な話

夏の月 すいか

第1話 ユイちゃんの日記

―玩具リユースショップ パート勤務 長澤さん(仮名)の話―


 女の子向けのおもちゃにはよく、前の持ち主が折った折り紙や、ママの似顔絵などがまぎれていることがある。折り紙やイラストなどいかにも小さい女の子が遊んでいたという感じがする。こういったものは男の子のおもちゃにはほとんど見られない。


 長年愛されている動物家族人形のハウスの箱を開けて、長澤さんが部品の確認をしようとしたときのこと。

 「このハウス、小さい頃同じの持っていたなあ。そういえばどこにいっちゃったんだろう。実家に今もあるのかな」

 かつて自分が遊んでいたのと同じものを手にし、懐かしい気持ちになっていた。

 「箱の破れ方とか、屋根のキズとか、私も同じような感じだったな」

 箱から本体や付属品を取り出すと、半分に折られた紙が3枚入っていた。

 紙を広げると、女児向けキャラクターが印刷された便箋に、日記とイラストが描かれていた。小学校低学年くらいの文字で、家族とおばあちゃん家に出掛けたということや、仲の良い友達と映画を観に行ったという内容だった。

 それを読み、長澤さんは青ざめた。

 「・・・これ、私の日記だ・・・」

 おばあちゃん家の場所、家族構成、友達の名前、全てが長澤さんと一致した。

 筆跡も当時の長澤さんのものに違いない。

 しかしこのハウスが長澤さんのものであるはずがなかった。このハウスは長年同じものが販売されているが、箱に書いてある製造年は4年前である。長澤さんが遊んでいたのは15年以上前だ。

 だが日記に書かれている映画も観た記憶があるし、描かれているイラストも15年前に流行ったキャラクターだ。そして何より日記の最後に書いてある「ユイ」とは長澤さんの名前だった。

 長澤さんは怖くなって、便箋を破いて捨てた。その晩、実家の姉に電話したところ、長澤さんが遊んでいた同じハウスは実家にあったそうだ。

 ちなみに、便箋に印刷されたキャラクターは昨年流行ったキャラクターで、長澤さんが幼い頃にはいなかったものらしい。 

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