第9話 分かれ道

あの夜から、三人の人生は決定的に変わった。


三人は、それぞれ別々の場所へ引き取られた。


エディとリリーは、別々の里親のもとへ。


そしてジャスパーは、施設へ送られた。


事件の件もあり、行政は里親選定をより慎重に行った。

ジャスパーもリリーも、真面目で愛情深い家庭で生活を送りはじめた。


——ジャスパーは、矯正プログラムやカウンセラーと対面の日々を送っていた。


(今は真面目にやるしかねえ、エディ、リリー)


施設で、似たような境遇の連中と、直ぐに意気投合した。

ジャスパーは、敵でなければ人に好かれる。

人を惹きつけるカリスマ性があった。

一番、気が合ったのが、ひとつ年上のジョンだ。

ジョンとは、施設を出た後も長い付き合いになる——。


———


エディは、男の子が好みそうな、シンプルでカッコいい部屋を与えられた。


(凄いな…僕ひとりじゃもったいないな…)


木目調のオシャレなデスクに座ると、

バッグから本を出した、

ジャスパーがくれた本——


エディは、学校の勉強とは別に憲法書を毎日読み漁る、様々な難しい言葉も、憲法の基礎もしっかりと覚えていった。

本を夢中で読んでいても、時折りページをめくる手が止まる。


(ジャスパー、施設はどう?嫌な連中に絡まれてない?)


あの事件以来、初めてフッと笑みが溢れた。


(ジャスパーなら大丈夫だね。誰よりも強いから)


———


リリーの里親は、エディの里親より、更に裕福そうだ。

特に、おばさんは、綺麗で煌びやかだった。


「リリー、欲しい物はなんでも言ってね。

うちは、子供ができなかったから、あなたのように綺麗な女の子が来てくれて、本当に嬉しいのよ。」

「あ!それから、私の事は、おばさんじゃなくて、ジェシカと呼んでね。」


お金持ちだけど、

善人なんだろうなとわかった。


酷い大人を見てきたから——


可愛いくデコレーションまでしてある部屋。

クローゼットには綺麗な洋服や靴、バッグが揃えられていた。


でも。なにも感じない。

喜びも苦しみすらも、なにも感じなくなっていた。

この頃から、リリーの様子はおかしかった。

大人は誰も気づかないけれど。

ひとつだけ、心が反応するのは、やはり、

ジャスパーとエディを思った時だった。


「ジャスパー…エディ…ごめんなさい…」



ジャスパーもエディも自分の道をしっかりと歩み始めた——。


リリーだけが違った——。

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